ドングリは食べ物だがおもちゃにしても色々楽しめる
さて秋になって、森の中にはどんぐりがどんどん落ちてくる。
ドングリなんかが、穀物よりも主食として食べられ続けたのは、食べられるときになったら自分で落ちてくるから、熟してるかしていないかの判別が簡単というのも大きい。
今日は雑木林に入って、みんなでどんぐり拾いだ。
竹で編んだ背負籠などを、みんなで背負って雑木林へ入る。
下の双子の面倒は、いつもの女性にお願いしている。
「さて、いっぱい拾うぞ」
「そうね、がんばりましょう」
「はい、かごいっぱいにしましょうね」
「頑張るー」
どんぐり拾いは難しいものじゃない。
ただ、落ち葉も一緒に落ちてるから、見逃すこともあるけどな。
毬栗やドングリ、栃の実などを拾い集めては、みんなかごに入れていく。
一日拾えばみんな籠が一杯になった。
「うし、そろそろ帰るか」
「そうね」
「はい、おとうさん」
「かえるー」
持って帰ったドングリは、いつもどおり水に沈めて、浮かんできた虫食いなやつは捨てて、煮ることで虫を殺す。
ドングリは遊ぶときにも使える。
今は家族みなでわらべうたのどんぐりころちゃんを歌いながら遊んでる。
「どんぐりころころ、 どんぐりちゃん。
あたまは とんがって、おしりは ぺっちゃんこ。
どんぐり どっちで しょ」
俺はどんぐり どっちで しょのところで、どんぐりを手に隠していった。
「さー、どーっちだ」
という感じで子どもに見る。
そして子ども達が左右の手を見た後
「こっちー!」
「こっちー!」
と、どんぐりが入っている方の手を指差す。
俺は手のひらを開いてドングリをだしてみせる。
「大当たりー」
「わーい」
「やたー」
とまあ他愛ない遊びだが、こんなことでも子どもたちは楽しんでくれる。
「じゃ次は石の皿に顔を作るぞ」
「わーい」
「あーい」
石の皿の上にドングリや木の枝などを並べて、人の顔っぽくしていく。
「これはこっちの方がいいよ」
「これはこっちー」
そんな感じでしばらくしたら、人の顔っぽいものが出来上がった。
「おう、うまくできたな」
「うん、できたよ」
「できたー」
雪だるまの顔の石皿版だな。
あとはど定番のどんぐり独楽だな。
平べったい方に石錐で穴をあけ、つまようじをさし、つまようじを適当な長さで切れば出来上がり。
「よーし、誰が一番長く回せるか競争だ」
「負けないですよお父さん」
「いくよー」
せーの!でドングリコマを回し始める。
もちろん子どもたちに花を持たせてやるのが親の嗜みというものだ。
「あー、俺がビリカー」
「ぼくのも、とまっちた」
「私が一番ー」
こんな風に単純な遊びでも、娯楽が少い時代だから十分楽しい。
下の双子にはドングリガラガラを作ってやる。
子供が両手が挟める程度の太さの竹を切って、中にドングリを入れて膠で張り直す。
「ほーれ、がらがらー」
「きゃっきゃ」
小さい子供はこういった単純な音が出るものが大好きで、小さな手で握っては振ったり逆さにしたり齧ったりしてる。
うん、かじるのはともかく振ったり逆さにしたりして音が出ると、楽しいのは見ててわかる。
双子だからそれぞれに一つずつ渡してるいるぜ。
本来は食い物を粗末にするのもどうなのかと言われそうだが、今の時代では結構余裕もある。
だから少しぐらいなら大丈夫さ。
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