世界最古のひき肉料理は縄文ハンバーグ?まあつみれでも肉団子でもいいと思うけど

 さて冬の間は基本は秋に拾った木の実をちょっとずつ食べるが基本は鹿や猪肉がメインだ。


 俺は村のみんなで共同で放し飼いにしているイヌを引き連れて鹿と鴨の卵を狩りに行く。


「よし、ワンコ達、今日もよろしくな」


 ”わんわん”


「たのんだぜ、お前さんが頼りだからな」


 ”わんわん”


 ウパシチリとかならもしかしたらイヌと会話ができるのかもしれないが、俺には残念ながら犬の言葉はわからない。


 まあ嬉しそうに尻尾を振ってくれてるし俺の言うこともちゃんと聞いてくれるから仲間だとは思ってるだろう。


 縄文イヌは身体は小さいが賢くて勇敢だ。


 身体が小さいのはあんまり食べられない時代が長かったからだろうな。


 身体が小さければ食べる量も少なくてすむ。


 今日は猪ではなく鹿を狩る予定で、俺の手にはボーラが握られている。


 弓を正確に使うのは難しいがボーラで脚を絡め取るのは其れよりは容易い。


 生き物を狩って食べるのにあっさり馴染んだ俺はかなり図太いんだろうな。


 ま、ブラック企業に長年努めていたら心もすりへるさね。


 狩猟で大事なのは優秀な猟犬が居ること、山野を駆け回る体力があること、弓矢などの腕が良いことの順で、猟犬は獣の匂いを嗅いでその居場所を突き止めて、猟師の前に獲物をおびき出し、足止めをすることが大事だ。


 まあ、犬が獲物の鹿をかみ殺して終わってしまうことも在るがな。


 この時代の狩猟対象はイノシシとシカがほとんどだが場合によってはカモシカ、ツキノワグマ、タヌキ、 アナグマ、テン、イタチ、ノウサギ、ムササビ、モグラ、サル、キジ、ガン、カモ、ハト、ワシ、タカ、ヘビ、すっぽんなどのカメ、カエルなども食べるぜ。


 狩猟方法にはその他に陥し穴を使う場合もある。


 落とし穴は獣道に仕掛けて朝に見回るのが普通だが場合によっては、動物が集まる水場などに、多数の陥し穴を掘って、イヌを使って追い込んで捕獲する場合もある。


 落とし穴には計画的に設置しておけば、危険が少なく獲物を取れるが、母親や子供なども無差別に狩ってしまったりするので其ればかり使うのは都合が良くないからイヌと一緒に狩りに行くことのほうが多いわけだ、まあ、獲物が必ず狩れるとは限らないから、切羽詰まったら大規模に落とし穴を使った狩猟もするぞって感じだな。


 基本鹿は、薄明薄暮性だが狩猟期には夜行性となるので、狩りは日中の野生獣が寝ている時に行う。


 だから、俺達はゆっくり集落を出るわけさ。


 獣道や水場、泥浴びをするヌタ場、岩からミネラルがでている湯場などを鹿が集まりやすい場所の近くで寝ていることが多いからまずは足跡、食み跡の下見をしてからワンコたちと一緒に林に入る。


 最初はゆっくり匂いをかぎながら歩いている、が。


 ”わん”


 とワンコたちが走り出した。


「お、見つけたか?」


 俺はボーラを構えて頭上で振り回して鹿が追い出されてくるのを待つ。


 ”わんわん”


 段々と追い立てられた鹿が近づいてくる気配が近づき、その姿が見えた時、俺は鹿に向かってボーラを投げつけた。


 ”ひゅん”


 と飛んでいったボーラは鹿の前足に絡みついて鹿は転び、ワンコが鹿の喉を噛んで仕留めてくれた。


「よし、よくやったぞ」


 褒めて褒めてーとばかりに尻尾を振ってるワンコの頭をかいぐりかいぐりなでてやったあと、鹿の血抜きをしてから、肩に担いで村に戻る、その途中で水辺の鴨の巣から卵をもらってきた。


「ただいま、今日は鹿が取れたぞ」


 イアンパヌがにこにこしながら出迎えてくれた。


「これでしばらくのんびりできるわね」


「おう、こいつらも褒めてやってくれよな」


 ”わんわん”


「あら、あなた達もありがとうね」


 ”わんわん”


 さて、今日はおそらく世界最古の部類のひき肉料理である“縄文ハンバーグ”を作って見よう。


 ちなみにハンバーグはドイツのハンブルグのひき肉料理が元だそうだが、ドイツ語でのひき肉料理はフリカッセであってハンバーグと言っても意味は通じないそうだ。


 カレーがインドではカレーと言っても意味がわからないのと同じで、イギリスから料理が伝わる時に今のような形になったらしいな。


 さて、作り方だがまずつなぎとなるクルミやドングリ、栃の実を石斧の平らな部分を使って叩き割り、石皿で粉末にする。


 それからシカの肉をまずは石斧で大雑把に断ち切った後、黒曜石ナイフで細かく刻んでひき肉にする。


 ひき肉ができたら塩を適当にかけてよく練りあわせ、其れに木の実のの粉末と鴨の卵を混ぜる。


 さらに均一になるようによーくコネあわせて、小判大に形を整えれば後は焼くだけだ。


 炉に接したところにおいた熱された石の上に其れを置くと肉がじゅわっと音を立てて焼けていく。


 ある程度焼けたら箸でひっくり返して十分に熱を通す。


 焼け上がったら後は食べるだけだ。


「お、うまいな」


「ええ、美味しいね」


 さて、味付けが基本塩だけとは言えシカ肉はそのものに特有の旨味があって美味い、さらに栃の実の独特の風合いととクルミの油脂分とサクサクとした食感にくわえ卵の黄身の味はなんとも言い難い美味さだ。


 調味料が少ないとは言えヨーロッパのように秋に潰した牛などの肉を冬の間食べ続けるのでしまいには香辛料がないと食えないほどいたんでるとかいうわけではないからな。


 その季節に有ったものをなるべく食べるというのは栄養摂取の観点からも現代よりすっといいぜ。

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