K冒険野郎〜ダイアモンドは斬られない〜

第15話キラの出会い

 西暦という言葉が失われ、コズミックイラにとって変わられる日も近いかもしれない。そんなことを考えていた。

 そして地球とプラント間での戦いは人類にとって深刻なダメージを与える。

 そんなような日も近い。そう確信する。

 しかしながらそれは今日ではなく、案外平穏な日々が日常として続いているここは、メリケン国ピースアイランドのビックフォレストイースト小学校なのであった。


 ビッグフォレストイースト小学校五年生のキラは、テストでは百点連発の成績優秀、なぞなぞみたいな問題でもすぐにピンとくる頭脳明晰、そして容姿端麗で通っていたが、どうにもこうにも運動だけは苦手だった。

 女子からの人気も高く、男子からも羨望の眼差しで見られていた。

 友人のノッチからはこんなことを言われていた。

「キラくんは優しいから『橋渡しをする人』っていう意味の『コーディネーター』に相応しいね」

 変な称号を与えられた時も、表情こそ苦笑いだったが、ありがたく頂戴したのだった。


 ピースアイランド駅からバスに乗り、別路線の駅であるビッグフォレスト駅へと到着したキラは、そこから歩き始めたのだった。

 歩くこと十五分と少々、キラは公園へと到着した。

「ビッグフォレスト貝塚記念庭園」それがキラの行きたかった目的地だった。

「ようやく着いた」

 品行方正そうな声でそう呟くと、キラは公園の中へ入って行った。

「えーっと……うーん……やっぱ土ばっかで無いか……」

 探しているのは石だった。キラはちょっと変わった形の石を拾うことを趣味としている。ビッグフォレスト貝塚記念庭園なら、何か面白いものが拾えるかもしれない。そう思ったがアテが外れたようだった。

「うーんでもなあ、ここまで来て手ブラで帰るってのもなあ」

 キラは下を見ながら石を探して歩く。しかしなかなかお眼鏡に叶う石は見つからなかった。

「やっぱ無いかなあ」

 下を見るのも飽きたので、ちょっと前を見てみる。

「ん? アレなんだ?」

 キラの視線の先で、何かが輝いた。それこそキラッと。キラだけにキラッと。

 キラはその方向へフラフラと吸い寄せられるように歩いていく。

 輝く地点をよく見る。

 それは黒いガラス質な石だった。

「もしかしてコレ、黒曜石じゃないか?」

 土に埋まり、顔だけ見せているそれは、キラがかつて父親に連れて行ってもらった博物館で見た黒曜石そのものだった。

「もしかしたら矢尻かもしれないぞ」

 さっき拾った小枝で黒曜石の周囲をそっと掘る。

「世紀の大発見かもしれない」

 そして世紀の大発見を拾い上げる。その時だった!

「痛ッ!」

 それは正しく矢尻だった。しかしそれが矢尻だったおかげで、キラは指を切ってしまったのだった。

 少しだけ血も出た。

「あ、洗わないと。バイ菌が入っちゃう」

 その時気づいた。誰かが立っている。それもキラのすぐそばでだ。

 思わず驚き、腰を抜かす。

 その人物はキラのすぐそばで、じっと立っていた。

「あ、アナタは……」

 ソイツはじっとキラを見つめている。敵意は無いようだ。

「僕はキラって言います。アナタは?」

 そんな質問もすることはなかった。キラはすぐに気づいたのだ。ソイツは、その人物はキラ自身が生み出した生命のヴィジョンだということを。

「君は……キラークイーンって名前だ。そうだ。キラークイーンだ」

 キラはキラークイーンの動かし方を既に知っていた。何かで読んだりしたのではない。心ではなく魂で知っていた。

 それはとても感覚的なことなので非常に言いづらいのだが、でもキラにはわかっていたのだ。

「そうか……そうなんだ」

 キラは思わず吹き出し、そして大きく笑った。

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