第4話マザーアース
「うおおお、アンナがさらわれてしまったんじゃあああ!」
狼狽するオレとシゲサトの元に、彼が現れた。そう、彼が!
「フォフォフォ、困っているようじゃの」
「「老師!」」
老師は手にしていた二つの瓶をオレとシゲサトに渡す。
「老師、コレは?」
「わからぬか?」
「まさから老師、コレは!」
シゲサトはわかったらしい。だが、オレにはさっぱりわからない。
「心じゃよ」
そう言って老師は去って行った。
「おい、シゲサト、コレは?」
「コレは高濃度のプロテインだ。コレさえ飲めば、アンナを助けることが出来る」
「ようし、待ってろアンナ。すぐ助けに行ってやる!」
オレもシゲサトも、瓶の蓋を開け、中の高濃度プロテインをあおる。ミルキーな感じで美味しかった。その時不思議なことが起こった。
「おお、体中に力が戻っていく!」
それはシゲサトも同様のようだった。
「では行くか」
「おう!」
オレとシゲサトはジャンプする。
高度一万メートル辺りで、アンナをさらったUFOに追いついた。
そしてオレたちはUFOの屋根に乗り移った。
UFOは加速する。しかしオレもシゲサトも振り落とされることはなかった。だって、そこには筋肉があるから。
振り落とされることがないと気づいたUFOは逆にオレたちを中に入れた。
「この中で最終決戦というワケか」
「この上腕二頭筋が鳴る!」
そして、オレたちの戦いが始まった!
五十匹は倒しただろうか? それでもオレとシゲサトは、宇宙人を倒しまくった。
「PKサイドチェスト!」
「PKアブドミナルアンドサイ!」
オレたちはポージングを決める。するとその度に大爆発が起こり、次々と宇宙人を駆逐していく。「ぬううん、アンナはどこじゃああああ」
オレのビルダーとしてのカンが、目の前のこの部屋にアンナがいる、そう伝えていた。
「行くぞ! シゲサト」
「フッ、任せておけい」
このキザったらしいのも、慣れてくると心強い。そう感じさせてくれる。
オレとシゲサトは、扉に向かってトライセプスをブチかます。
ポージングを見た扉は自ずと開いていった。
どうやら、自動扉だったようだ。
「こ、コレは!」
オレは目を疑った。シゲサトも同様のようだ。
「見れば見るほど奇っ怪な」
目の前ではガラス瓶のような入れ物の中に、様々な生物が入っていた。
猫、しいたけ、ごぼう、犬、そしてさらわれた人たち。
この全てが、ホルマリンのような液体の中に入っている。
しかし、中に入っている生物は皆生きていた。「ぬうう、ヒドイことを・・・・・・」
「宇宙人め、許せん! おしおきしてやる!」
シゲサトの案に、オレは同意した。
そう、奴らにはオシオキが必要だ。
オレとシゲサトは奥へと進む。すると、中ではアンナが瓶に入れられんとしていた。
「こりゃあ! 宇宙人め、こらしめてやる」
オレはリュックサックからバットを取り出し、力を込める。
木製バットだったから、大丈夫だった。金属バットだったらひしゃげていたね。
シゲサトはPKビームを放つ準備をする。
「コウシタラドウナル?」
宇宙人はアンナの首筋に手を当てる。
それは動いたら首を切り落とすというサインだろう。宇宙人の手も、金属質に光っているし。
「卑怯な」
シゲサトの声に、オレは同意する。
「アンナ! 起きてくれ! ライネスじゃああああ」
奇跡が起きた。高架下で電車が通り過ぎた時程度の音量しか出していないのに、アンナは目を覚ました。
「うるさい! むさ苦しい!」
アンナはバタバタと暴れ出した。
「オイ、シズカニシロ」
それに対しアンナはガンをくれて、要するに睨みつけた。
「テメエ、わたしのどこさわってんだよ! ブッコロがすぞ!」
「サイキックパワーヲ使エナイ人間ニワタシガオクレヲトルトデモ思ッテイルノカ?」
「わたしだってつかえるわ! PKビルドアップ!」
するとアンナの体はメキメキ大きくなっていきました。身長は三十メートル近くに育ち、一発のパンチで核爆発の半分くらいの衝撃が出る素敵なレディへと変貌しました。
だからオレは目を疑った。それはシゲサトも一緒だ。アンナは、アンナは、水色ストライプのしましまパンティだったのか。
吠えたアンナの声は国中に響き、オレたちを乗せたUFOはアンナの拳一発で沈んだ。
核爆発の半分のエネルギーだもんなあ。まあ仕方ないね。
そのままオレたち三人は、宇宙空間に飛ばされた。
オレたちはそのまま宇宙空間を泳ぎ、地球に戻っていった。
母なる大地へ・・・・・・。
オレはライネス。ただのサイキック野郎だ。バット片手に宇宙人を懲らしめている。
相棒のシゲサト、麗しのマドンナアンナとともに、今日も宇宙人を探す。
さあ、わりい子はいねえがあああああ!
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