22-3 入部する?

 京真は対戦の開始を待っていた。

 地理研究同好会代表の男と戦おうとしているのだ。

 その男は京真よりも大きな体躯をしている。

 筋肉質な男二人は横に並んで座り、同じものを見ていた。

 それは一枚のモニター。

 二人の手には小さなコントローラーが握られている。

 京真はテレビゲームで、重要な一戦に臨んでいたのだ。

 

「俺が勝ったら約束は守ってもらうぜ!」

「やれるものならやってみろ!」

「がんばれ~、だいちゃん」

「先輩どっちの味方なんですか!?」

「京真、負けるなー!」


 気の抜ける応援も聞こえるが、この対戦は重要な一戦である。

 なぜならこれは、入部試験ともいえるものだからだ。






「まあ、よく分からんがゆっくりしていけ。この地理研でな」


 地学室を訪れた京真たちに大男はそう言った。

 男の名は大和田大介おおわだだいすけ

 美景と同じ二年生である。 

 それにしてはやけに体が大きく、一般的な成人男性以上だ。

 スポーツマン、とりわけ肉体派の部活に所属していそうな風貌。

 しかし、大介はあくまで地理研の代表なのである。


「そうか、お前たちは地理研に入りたいのか」

「そうなんです。この地理研究同好会の所属人数を5人以上にして、地理研究部にすればもっと多くの予算を得られるわけなんです」


 麻尋は大介に対し思惑を伝えた。

 もちろん、さも大介に得があるように歪曲して話していた。

 京真たちの本来の目的はこの地理研を乗っ取る事。

 現在部員が1人しかいないこの同好会。

 そこに4人で入部して、同好会を部へと昇格。

 そして生徒会から予算を手に入れた後に多数決で部を乗っ取る。

 良心の欠片もない作戦を麻尋は計画していたのだ。

 

 

 透と麻尋は能天気に麻尋の話を聞いていた。

 そんな邪悪な魂胆があるとは思っていないのだ。

 入部のため代表を説得するなんて優しい友人だなあ。

 その程度にしか思っていない。

 美景は説得に興味もなくフラフラと部屋を見て回っていた。

 大介は目を閉じて考える素振りを見せる。

 あと一押しだ。

 そう思った京真が立ち上がり、頭を下げる。


「俺たちを地理研に入れてくれ!」

「断る!」


 即答だった。

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今日バトる?バトらない?~VRMMOで最強になると誓ったあの日に出会った最強の男が同級生(女)だったことを俺はまだ知らない~ くらんく @okclank

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