21-4 捜索する?
麻尋に問い詰められ、絶体絶命の和己を救ったのは美景だった。
「まひろんダメだよ~、そんなに追い詰めちゃ」
「美景先輩、でも――」
「かずにゃんはきっと女の子が好きなんだよ~」
「まさか、そんなわけ無いですよ」
「その事をここで話して、皆に気を遣わせないようにって。そういう優しい気持ちが分かんないかな~、まひろんには」
「その可能性もあるとは思ってましたけどね!」
美景(馬鹿)に馬鹿にされた麻尋は意地になった。
意地になって美景の主張を一部認めた。
あとは和己次第という状況。
まさに起死回生だった。
「で、どうなの?」
「実は僕、女の子が好きなんです」
「ふーん、そう」
和己が認めたことで、麻尋の追求は終わった。
和己は安堵した。
これで全ての問題は解決した、と。
「この本を見るに、かずにゃんはおせろんが好きなんだね~」
「檀崎さん!?」
エロ本の系統から特定の人物を連想したのは麻尋だけではなかった。
美景の言葉によって和己は再び焦る。
「大丈夫。私も和己が好きだからな!」
恐らく、おせろは好きの意味を勘違いしている。
実際は勘違いではないのでややこしいが。
「ずるい!私もかずにゃん好きなのに!」
透の好きもまた、別の意味である。
二人は和己の事が妹のように好きなのだ。
「和己ちゃん、意地悪してるけど私も好きだよ」
麻尋も和己の事が好きなのだという。
これは、おもちゃとして好き、という意味である。
「うんうん。皆かずにゃんのこと大好きなんだね」
美景が胸を押し当てながら和己を背後から抱きしめる。
和己は窮地を救ってくれた美景に感謝しつつ、それを受け入れた。
その時、美景が耳元で囁いた。
いつもよりも甘い声で、いつもよりも真剣に。
「今日は二人っきりで寝ようね、かずにゃん」
「――ッ!」
直後、身の危険を感じた和己はリビングでの雑魚寝を提案。
無事採択され、事なきを得たのだった。
一方、家を追い出された京真は、唯一の知り合いに電話していた。
「もしもし」
「お、京真じゃん。どうした?」
「涼、何も言わずに俺を泊めてくれ……!」
「いいぜ」
「軽っ」
軽すぎる男、筧涼のおかげで宿泊先を確保した。
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