20-2 恋バナする?
「大丈夫ですか、兄さん」
恐怖に支配されている京真を心配する和己。
麻尋はすかさず追撃をかます。
「この前は京真の膝の上に乗ったりもしたの」
「嘘ですよね、兄さん!」
「ほ、本当だ……、本当だ!」
「ね?」
「明らかに兄さんが動揺してます!いったい兄さんに何したんですか!?」
「恋人について真剣に語りあった」
「それはいつの事ですか!」
「この前の休日、買い物に行った時」
「確かに兄さんは土曜日に出かけてましたが……」
旗色が悪くなってきた和己。
だが仕方のない事である。
何故ならすべて事実なのだから。
とはいえ、多少歪曲されている部分がある。
麻尋は先日、修行と偽って京真を買い物に呼びだした。
その際に京真は透を怒らせ、帰らせたのだ。
これはその後の話。
麻尋は、駐車場のアスファルトに京真を正座させた。
そしてその膝の上、太ももの部分に麻尋は土足で乗ったのだ。
しっかりと、体重をかけて。
ほぼ江戸時代の拷問、石抱き責めである。
いくら華奢な麻尋と鍛えている京真といえ下はアスファルト。
布一枚を挟んで細かな凹凸が脛に押し付けられるのだ。
この状況で麻尋は説教を始めた。
恋人役の透をどのように扱うべきか。
一方的に教育を施したのだ。
それ以降、京真は麻尋の事を恐怖の象徴として見るようになった。
「そうだー、土曜日ってまひろんが電話で恋愛相談してきた日だよねー」
お菓子に夢中になっていた美景が思い出したように会話に参加する。
「そうですそうです。京真君が女の子を怒らせるから先輩に愚痴っちゃったんです」
「ダメだよきょーちゃん。女の子は怒らせると怖いんだからー」
「ああ……、その通りだ……」
力なく項垂れる京真。
勝ち誇る麻尋。
「まさか……、兄さんが……」
和己は敗北した。
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