19-6 女子会する?

 京真は頭を抱えていた。

 麻尋の言う、美景を連れて来た理由が分からないのだ。

 おせろに対抗するためとはどういうことなのか。

 京真はそれを必死に考えていた。


「おいおい京真君。そんな事もわからないのかい?二人を見比べてみなよ。この場でおせろんに対抗できるものを持ってるのは美景先輩だけだろ」

「対抗できるもの……?」


 京真はおせろと美景を繰り返し見比べた。

 間違い探しのように、二人の要素を一つ一つ確認していく。

 髪、目、鼻、口、輪郭や首の太さなどじっくりと見る。

 そして、京真がそれに気付いた時、麻尋が答えを明かした。


「そう。美景先輩は、おせろんより、胸がでかい」

「本当だ……」

「じろじろ見るな!」


 思わず透がテーブルの下にある京真の足を蹴飛ばした。


「これでも美景先輩は着やせするタイプ……。実際のサイズはFカップもあって――」

「Gだよー」

「なんだって……?」


 その言葉にリビングは静まり返った。

 麻尋ですら言葉を紡ぐのをやめ、思わず美景の方を振り返った。

 まだ成長するのか、という驚きが麻尋の脳内を支配したのだ。

 美景は相変わらず朗らかな笑みを浮かべている。


「ジーザスのGだねー」

「ジーザスはJです、先輩」

「そうなのー?」

「頭空っぽにして代わりに胸に詰め込んだんですね可哀そうに」

「頭柔らかいってことー?」

「柔らかいのはこの胸だろうが!」

「まひろんおっぱい好きだねー」


 かつてもこんなやり取りがあったのだろう。

 慣れた手つきで胸を揉みしだく麻尋。

 対して動揺を見せない穏やかな美景。

 その様子を見て動揺を隠せない京真。

 その足を蹴り飛ばす透。

 興味津々の和己に、思わず両手で顔を隠すおせろ。

 実に平和的な女子会である。

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