19-4 女子会する?

 彼女は檀崎美景という人物である。

 衝撃だった。

 まず、本当に先輩だという事。

 次に、馬鹿そうなのに高難易度の入試を突破したという事。

 そして、そんな人物が生徒会副会長だという事。

 そのすべてに京真は驚愕した。

 京真だけではない。

 おせろと和己も同様に思っていた。

 特に和己は驚きと同時に興味を持った。

 和己は来年、柴北学園を受験する予定なのだ。

 一体どうすれば学力が足りなくても合格できるのか。

 聞いてみたく思ったのである。

 しかし、和己は素直になれないのだ。


「どうしてそんな見ず知らずの人がうちに来るんですか」


 ついつい喧嘩腰になってしまう。

 緊張した和己の悪い癖だ。


「かずきん言い方怖いよー?もっと優しくしてー」

「なんですかその小学生のいじめみたいな呼び方」

「えー、いやー?」

「当然です。僕の名前は和己ですから。余計なものは付けないで結構です」

「じゃあ、かずにゃんだねー」

「かずにゃん!?」

「よろしくねー、かずにゃん」

「や、やめてください恥ずかしい!」


 完全に美景のペースに嵌ってしまった和己。

 そこにもう一人の人物が参戦する。


「かずにゃんいいね!かずにゃん!」

「後鳥羽さんまで!」

「コラ!透お姉ちゃんでしょ!」

「絶対に言いません!」


 仲睦まじいやり取りに思わずおせろは微笑した。

 そんなおせろに美景がグイっと近づいて両手で頬をつねる。

 柔らかいおせろの頬が横に伸び、目は驚きで丸くなる。


「おせろんもよろしくねー」

「おへほん!?」


 美景は誰にでも馴れ馴れしかった。

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