19-2 女子会する?

「どうしてこうなった」

「どうしてこうなったんですか、兄さん」

「どうしてこうなったんだ、京真」


 京真の家のリビングでは女子会が開催されていた。

 それは麻尋が主催したものであり、目的は偵察。

 おせろと和己がどんな人物か見に行こうというものだった。

 

「また違う女の人を連れ込んでどういうつもりですか、兄さん」

「連れ込んだというより押し入られたんだが」


 なぜ京真の家が選ばれたかというと、当然和己に会うためだ。

 おせろには透から連絡をして呼び出した。

 師匠からの緊急招集と銘打ったそれにおせろは呼び寄せられたのだ。

 しかし、和己を呼び出す方法は持ち合わせていない。

 そのため京真の家で待ち伏せることにしたのである。


「それでは第一回、柴北学園女子会をはじめまーす!」

「いえーい!」

「いえーい?」


 麻尋が声高々に宣言したことで状況を飲み込めた各人。

 それぞれが文句を言い始めるのも当然だった。


「俺は女子じゃねえ!」

「僕は柴北学園の生徒ではないです!」

「師匠の緊急事態って嘘だったのか!?」

「師匠って呼ばないで」

「盛り上がってますなあ」

「ねえ、お菓子食べていーい?」

「どんどん食えー!」

「いや、ちょっと待ってくれ」

「どったの?京真君」


 真剣な表情で静止を促す京真。

 その言葉にのっけから荒れていた場は静まりかえった。

 そんな中でも変わらずに、せんべいを齧る音だけが響いている。


「当たり前のように人の家の菓子食ってるこいつは誰だ」


 京真はせんべいで頬を膨らませた女子高生を指差した。

 制服から見て間違いなく柴北学園の生徒である。 

 だが、京真は全くもって知らない人物だった。

 口にくわえたしょうゆ味のせんべいと同じような茶色の髪。 

 それを後ろで一つに括った所謂ポニーテールの彼女に視線が集まる。

 彼女は手に持ったせんべいを口に放り込んでよく噛む。

 そして口の中からものがなくなった後、口を開いた。


「もう一個食べていーい?」

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