18-2 好きな人?
「おせろさんがうちに来るなんて久しぶりじゃないですか!」
おせろに抱きついた和己は顔をあげて話す。
表情は変わらないが、彼女の目はキラキラお輝いている。
対するおせろは皮肉たっぷりに答えた。
「誰かさんが私の事を避けてたからなあ」
そう言って京真の方を見るおせろ。
一方の京真は苦々しい顔をした。
紛れもない事実に言い返す言葉もない。
そんな京真の表情に気付いた和己。
彼女は声を低くして兄を問い詰め始めた。
「どういう事ですか兄さん」
「どうって言われても……」
「どうしておせろさんを避けてたんですか」
「それはその……、理由があって……」
「理由?理由ってなんです?付き合いが長いおせろさんを避けるほどの大層な理由を教えてください」
京真はいくつかの質問に対し、しどろもどろに答えた。
しかし、最後の質問への答えがなかなか浮かばない。
理由がないというわけではない。
答えられないのだ。
幼馴染みを性的な目で見ているなど妹に言えるわけがない。
そんな事は兄のプライドが許さない。
というか恥ずかし過ぎて言えないのだ。
それに、京真は知っている。
和己にとっておせろは、ただの幼馴染みではない事を。
憧れのお姉さん的ポジションである事を。
故に、そんな彼女に対する下心がバレたらどうなるか。
京真は100%軽蔑される。
そう考えていた。
「さあ、答えてください兄さん!さあ!」
「勘弁してくれ!」
無表情に怒りを込めて迫る和己。
そんな妹を前に京真が取れる選択肢は一つ。
戦略的撤退。
玄関に3人を残し、リビングへと逃げ去った、
これによって京真の兄としてのプライドは守られた?のだった。
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