17-5 一緒にする?

 透は楽しくて仕方が無かった。

 おせろで遊ぶのがあまりにも楽しいのだ

 緊張で足が竦むおせろの背中を押す。

 おせろが不安にならないように微笑みかける。

 そして思わせぶりな事を言う。

 言われた側のおせろは顔を赤くしながら更に緊張を強める。

 そんなおせろの表情を見て、透は麻尋の気持ちが分かった気がした。

 

(誰かが勘違いしてるの見るの楽しい~!どぎまぎしてる様子かわいい~!)


 いつもは麻尋に遊ばれている透だが今は違う。

 今はいち早く京真の真意に気付き、おせろの勘違いを察知した。 

 そんな状況にあっては、透も好奇心を抑えられない。

 透はおせろの勘違いを利用して、少しだけ悪ふざけをしたくなった。

 京真がこれからおせろと性的なコミュニケーションを取ろうとしている。

 そんな印象付けをおせろに施したのだ。

 そしてそれは成功した。

 おせろは緊張し、恥じらい、動揺した。

 透はそんな彼女を見て、笑いをこらえるのに必死だった。

 今なら普段の麻尋の気持ちが分かったような気がする。

 人で遊ぶのは楽しい。

 そんな事を思いながら透はおせろの観察を続けた。


「おせろにはこれから、俺と師匠がやってるVRMMO、VWOヴィジョンワークス・オンラインをプレイしてもらう!」


 遂に京真が目的を告げた。

 京真はおせろに下心を抱いている。

 だが、それと命令は別だ。

 京真はただ、VWOをおせろにプレイしてほしかったのだ。

 透は確信が無かったが、京真がそれを望んでいることに気付いていた。

 ただ、その理由は透にも分からない。


「VWO……?」


 おせろは理解ができていない様子だった。

 口は半開きで呆然とした表情だ。

 透は遂に笑い声を漏らしてしまった。

 その声に反応して、おせろがチェアからがばりと起き上がる。


「透、気付いてたな!?」

「何の事~?」

「私が勘違いするように誘導しただろ!」

「え~、おせろちゃんは一体何と勘違いしたのかな~?」

「そ、それは……」

「もしかして言えない事かな~?」

「うぅ……」


 透はいつも麻尋にやられている分の仕返しを、ここぞとばかりにおせろへ向けて行った。

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