17-4 一緒にする?

「大丈夫大丈夫。全部京真に任せればいいから……」

 

 透はそう言って、自分より背の高いおせろの両肩を後ろから押す。

 そして二人で京真の部屋に入ると、静かに扉を閉めた。

 京真の部屋は特長のないシンプルな部屋だった。

 壁のポスターも無ければ集めている漫画も無い。

 あるのはデスク、チェア、ベッドと小さな本棚くらい。

 そんな部屋に男女が3人佇んでいる。

 京真はカーテンを開けた後、二人に向き直った。


「早速はじめるか」

「えっ、もう!?」

「どうせなら長くやりたいでしょ」

「長く!?長くってどのくらい!?」

「大体2時間くらいだと思うぜ」

「私は空いてる時間さえあればずっとやってたいな」

「そんなに!?」


 狼狽えるおせろと肯定的な透。

 おせろは、人は見かけによらないものだと痛感する。

 そして、透に対する清純なイメージを完全に改めた。


「時間なんてすぐに忘れちゃうから安心して、おせろ」

「私、初めてなんだ……」

「京真が優しく教えてくれるから」

「ああ、任せとけ!」


 真っすぐおせろを見つめて話す京真の言葉。

 おせろは観念した。

 久しぶりに見た京真の綺麗な目に心を許した。


「本当だな……?」

「ああ!」

「私はどうすればいいの……?」

「とりあえずここに寝そべってくれ」

「ここって……」


 京真に指定されたのはチェアだった。

 傾きを調整できる黒のデスクチェア。


「それでこれを被ってくれ」


 京真から手渡されたのはヘルメットのような黒のヘッドギア。


「最期にこれを腕に付けてくれ」


 そう言われ、おせろはリングのようなもの受け取った。


「京真」

「なんだ?」

「今から何するの」

「あれ?言ってなかったか?」

「答えろ」

「おせろにはこれから、俺と師匠がやってるVRMMO、VWOヴィジョンワークス・オンラインをプレイしてもらう!」

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