17-3 一緒にする?

 おせろは緊張していた。

 今、おせろは京真の家に招かれている。

 京真と幼馴染であるおせろは何度も訪れた場所だ。

 しかし、最近は殆ど来ていなかった。

 京真に避けられていたからだ。

 久しぶりに玄関に足を踏み入れ周囲を見回すおせろ。

 何も変わらない光景だった。

 そんな中で唯一、京真の靴が大きくなったことに気付いた。

 京真が成長していることを改めて感じ、おせろはまた緊張した。

 

「入ってくれ」


 京真がそう言って自室に向かった。

 久しぶりに入る京真の部屋。

 だが、おせろが緊張しているのは久しぶりだからではない。

 これからこの部屋で行われることに緊張しているのだ。

 勝負で負けたからには京真の言う事を聞かなければいけない。

 その約束を破るわけにはいかないが何を命令されるのか。

 おせろは少しだけ不安に思っていた。

 信頼しているはずの幼馴染。

 そんな彼の本心を聞いて、おせろは京真が分からなくなった。

 おせろの知らない京真の一面があったのだ。

 だからこそ、今の状況で京真を信じていいのか悩んでしまう。

 足が思うように進まない。

 そんなおせろの背中が後ろからそっと押された。


「ほら、おせろ行くよ」


 透だった。

 透は優しい笑顔をおせろに向ける。

 おせろの不安をかき消すように微笑んでいるのだ。

 おせろはそんな透の余裕に驚きを隠せない。

 清純そうに見えて意外と経験豊富なのかと疑ってしまう。


「大丈夫。ありのままのおせろでいいんだよ。自分をさらけ出して」

 

 透が穏やかな口調で語りかける。

 しかし、この何でもない言葉すら今のおせろには卑猥に聞こえてしまう。

 おせろは顔を赤くしながら透を見つめる。

 目の端には小さな涙の粒。

 子犬のような表情。

 今にも透に抱きついてしまいそうな様子だ。


「安心して、私も一緒だよ。3人で楽しもう?」


 透のその言葉を聞いておせろは目を見開く。

 そして更に一段階顔を赤くしたと思ったら透から顔を逸らした。

 透の顔も見れないくらい恥ずかしくなったのだ。

 

「大丈夫大丈夫。全部京真に任せればいいから……」

 

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