15-2 言う事を聞く?
透は歩いていた。
前日、京真を追いかけて走った道だ。
今日は二人で並んで歩いている。
普段ならば放課後デートだと喜んでいるところだ。
しかし、今日はそんなこと言っていられない。
京真から話があると言われたのだ。
透の予想が正しければそれは別れ話だろう。
おせろと付き合うために恋人役を解消したい。
そういう類の話だと推測した。
透は驚きはしなかった。
なぜなら透もまた、同じことを話そうとしていたのだ。
透は、おせろが京真を好きだと気付いた。
そして、京真もおせろを思っていると理解した。
両想いの二人のために、透は身を引く決心をしたのだ。
後悔が無いとは言わないが、今の関係がずるいように思えたのだ。
「ここだ」
京真が連れてきたのは公園だった。
そこは昨日、京真とおせろが待ち合わせた場所。
そして、すでに先客はいた。
「京真……」
おせろだった。
京真に呼び出されていたのだろう。
一人で佇む制服姿のおせろもやはり綺麗だった。
風に揺れるスカートから伸びる足が長くて美しい。
ブラウスの上に垂れるネクタイは立体的なカーブを描いている。
どちらも透にはない魅力である。
透は少しだけ劣等感を感じた。
だがそれももうすぐ終わる。
もう京真とも、おせろとも、他人になるのだ。
「おせろ!」
京真は大きな声を出した。
それは依然聞いた、気合の入った声だった。
「俺と、勝負しろ!」
「へ?」
「は?」
透もおせろも困惑した。
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