14-2 本当の気持ち?

 ベッドに倒れ込んでからも、透は悶々としていた。

 京真はおせろの質問に答えなかった。

 それでも透は感じた取ったのだ。

 二人が互いを思い合っている事を。

 京真の表情、態度、そのどれもが透には見せない物だった。

 楽しそうに話す姿も、相手を思い言葉を詰まらせる姿も。

 それに加え、京真はおせろの前で透を師匠と呼んだ。

 それが透にとっては大きかった。

 おせろの前で、透を下の名前で呼ぶのを拒んだのだ。

 その一方で、京真とおせろは名前で呼び合っている。

 それに気付いた時、悔しいような寂しいような気持ちになった。

 透は枕を抱いて起き上がった。

 ぎゅっと力強く抱きしめた後にそれを両手で投げ捨てた。


「よし!」


 透は考えた果てに結論を出した。

 おせろは京真が好き。

 そして京真もおせろが好きなのだ。

 であれば恋人役という枷は京真にとって邪魔になる。

 そう考えて決断した。

 明日、学校で京真に話すことにしたのだ。

 恋人役はもういらない。

 自由にしていい、と。


「はぁ……」


 透はため息をついた。

 そして制服を脱いでハンガーにかけた後、もう一度ベッドに倒れ込んだ。

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