13-1 その女だれ?

「きょ、京真!今日はどこに行く?」


 放課後。

 透は京真に問う。

 京真からのプレゼントを受け取った日。

 透は京真の行動を許した。

 自分が嫉妬していた事には気づいていたのだ。

 それに、京真が他の女に現を抜かしているわけでない。

 その事も分かっていた。

 透はどこかで、京真を許す機会を探していたのである。

 そして、京真からの謝罪を受けてこれを承諾。

 許す代わりに、放課後には麻尋と3人でカフェに寄った。

 まだ二人きりでは恥ずかしい。

 そんな思いから麻尋も誘ったのだ。


「カフェくらい2人で行きなよ」


 と、面倒くさがる麻尋を透は必死に説得。

 最終的にはケーキで買収した。

 透は3人で過ごした何気ない放課後を満喫したのだった。


 そして透は、今日もまた放課後にどこかに寄ろうと思っていた。

 そこで京真の意見も聞こうと考えたのだ。

 だが、京真の返答は透の想定外のものだった。


「悪い。今日は用事があんだよ」

「用事……?」


 透は少し驚く。

 京真の用事とは何だろうか。

 部活にも入っていない。

 バイトもしていない。

 そんな京真が用事と言っている。

 用事くらい誰にでもある。

 だが、透は引っかかるものがあった。


「用事って家の用事とか?」

「いや、まあ、そんな感じだ」


 怪しい。

 京真が言葉を選ぶ理由を透は考えた。

 考えたが分からないので直接聞くことにした。


「それって言えない用事?」

「いや、言えないって訳じゃないんだが……」


 ハッキリしない返答だった。

 透はますます怪しんだ。

 京真はいそいそと帰り支度を済ませ、鞄を手に取った。


「急いでるからもう帰るぜ。じゃあな、透!……さん」

「……」

 

 京真もまだ、名前呼びには慣れていない様子だ。

 教室を飛び出す京真に無言で手を振る透。

 しばらくして、とある考えに至る。


「そうだ、尾行しよう」


 

 

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