10-2 怒られる?
京真は語り合っていた。
相手は伊代という少女だった。
「おい、アンタ!」
京真は対戦を終えた相手に話しかけた。
相手の確かな技術と状況判断。
そして戦略について聞きたいことがあったのだ。
筐体から出て来たのは中学生くらいの少女だった。
しかし京真は動揺しない。
なぜなら自分を打ち負かすほどの実力を持つ少女が、この世に存在することを知っているからだ。
「アンタがサッパーか」
「はい、そうですけど……?」
「すごかったぜアンタの技!グレネードでやられるところだった」
「じゃあ、あなたがバーサークのプレイヤーさんですか!?」
「ああ、そうだ!」
「すごかったです、さっきの動き!」
「いや、アンタの方が凄かったぜ。あの一瞬のフルガードってどうやってんだ?俺にも教えてくれよ」
「あれはですね――」
タキアン談義。
それ以外の意図は全く無かった。
技術の吸収に余念のない京真は、無心で少女の話を聞いた。
その時、透はすでにその場を立ち去っていた。
「アンタに俺の師匠を紹介するぜ」
「あなたより強い方がいるんですか!?」
「ああ。俺なんかよりずっと強いぜ。尊敬してんだ」
「へえ、すごい人なんですね」
「ところでアンタの名前は?」
「私は伊代って言います。あなたは?」
「俺は京真だ。よろしくな!」
「はい!よろしくお願いします!」
そしてやっと、京真は後ろを振り返った。
「あれ?師匠はどこだ?」
そこにいたのは麻尋だけだった。
「京真君、ちょっとツラ貸して」
いつもと違う麻尋の威圧感に、京真は背筋が凍り付いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます