9-4 敵たおす?
戦闘は終盤を迎えていた。
京真はしばらく見合った後にサッパーに近接戦を仕掛ける。
アンカーで距離を詰め、拳を放つ。
それに対し、サッパーは手元から何かを落とした。
咄嗟に京真はフルガードを発動する。
それの正体はグレネードだった。
二人の間に爆発が広がる。
リロードを待ってから攻撃を仕掛けて良かったと京真は安堵した。
京真にとって自爆まがいの攻撃は想定外だったのだ。
何故ならサッパー自身がダメージを食らう可能性があるからだ。
「なるほど」
京真は納得した。
サッパーもまた、フルガードを発動していたのだ。
しかも設定時間は1秒のものを選択している。
これは装備コストが低い代わりに連続攻撃に耐えられないデメリットがある。
だが、今のような使い方をするならば1秒で十分なのだろう。
京真のフルガードとの差、4秒。
その時間で罠を設置できれば、むしろ上位互換のワンセコンドフルガード。
厄介ではあるが、これでお互いリロードに入った。
防御のスキルは失ったはず。
京真は残りの動けない4秒間に様々な攻撃を思考した。
そして、時間が来た。
「やっぱりな」
京真は想像通りの相手の動きに反応してみせた。
それはサッパーの攻撃ではない。
アサシンの奇襲だった。
背後から首元を狙うナイフをガントレットで防ぎ、腕を掴んで投げ飛ばした。
アサシンはサッパーの方へ向かっていき、地面に落ちて罠が起動する。
大きな爆発が起きた。
威力の高い地雷なのだろう。
先ほどの爆発もそうだが非常に攻撃範囲が広い。
アサシンは脱落した。
「これで最後だな」
最後の一対一。
地雷の数や位置がわからない現状、地面を走るのは得策じゃない。
京真はアンカーを前方の地面に突き刺し、そこを軸に宙を舞う。
更にサッパーの頭上でもう一つのアンカーを真下に射出。
空中で方向転換をして、地面へ垂直に急降下する。
京真はそのまま頭部を殴り倒そうとした。
だが、サッパーも最後の抵抗をする。
アンカーの紐部分に倒れ込み、自ら絡まりにいったのだ。
これによって空中から迫ろうとしていた京真はバランスを崩す。
なおもアンカーは巻き取りを続け、両者は抱き合うような格好でぶつかった。
そして傍らにはグレネードが転がっていた。
二人は爆発をもろに受けた。
周囲に砂埃が立ち込め、最終的に生き残っていたのは……。
「危なかったぜ……!」
京真だった。
耐久力の高いバーサークのおかげで何とか耐え切れたのだ。
対するサッパーはフルガードのリロードが間に合わなかったのだろう。
自らのグレネードでのセルフキルとなった。
「おい、アンタ!」
京真は試合を終えると、筐体を降りて隣の席に向かった。
同じタイミングで試合を終えた様子を見て京真は確信したのだ。
隣にいた人物が、サッパーのプレイヤーである事を。
そして、激しい戦いを終えて健闘を称えたいと思ったのだ。
声を掛けられた人物は筐体の外に出た。
その人物は中学生のような幼い見た目の少女だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます