9-3 敵たおす?

 対戦は白熱した。

 外壁を上り奇襲を仕掛けた京真。

 狙撃手への不意打ちが決まり撃破に成功。

 しかし、同じ獲物を狙っていた他プレイヤーと鉢合わせする。

 追従レーザーによる攻撃が正面から迫る。 


「危ねぇ……」


 ここは屋上から落下しつつフルガードを使用して事なきを得た。

 再びマップを確認する。

 生存数は5。

 この間に脱落したのは狙撃手のみ。

 京真は学校内に侵入した。

 しかし、階段へは向かわなかった。

 理由の一つは罠の危険性。

 もう一つの理由はフルガードのリロードだ。

 フルガードは強力な防御スキルだがデメリットもある。

 使用中は移動ができない点。

 そのため囲まれる、逃げられるなど相手に時間を与えてしまう。

 そして連続で使用できない点だ。

 最大5秒のフルガードのリロードは25秒。

 これが短いようで長いのだ。

 特に戦闘狂の京真にとっては耐えがたいほど長く感じられる。

 普段このスキルを選ばないのもこれが主な理由だ。


 一方そのころ、屋上では別の戦いが始まっていた。

 コの字型になっている校舎の反対側の屋上からミサイルが飛ぶ。

 レーザーを有するシューターは迎撃を行った。

 目視によるターゲット変更でのレーザー誘導。

 それによって次々にミサイルを打ち落とすが、あまりにも数が多すぎた。

 レーザー銃ががオーバーヒートして冷却が必要になったのだ。

 その間もミサイルの雨は容赦なく降り注ぎ、シューターは脱落した。

 撃破したのは工兵、サッパーだ。

 設置武器を得意とするキャラクターである。

 今回は事前に複数のミサイルを設置していた。

 それによって一度に大量の攻撃が可能となり、物量で押し切ったのだ。


「行くか」


 校内の京真は、リロードを終え準備万端になった。

 上から位置が特定されないように校内を移動する。

 そして窓を破って外に出て、前とは別の外壁を上って屋上を目指した。

 しかし、途中で予定を変更する。

 生存数に変化があったからだ。

 上からはミサイルの轟音が聞こえていた。

 弾道からして逆側の校舎からの攻撃。

 京真は渡り廊下へと向かった。

 両方の屋上の様子を確認するためだ。

 そして見えた。

 ミサイルを再設置するサッパー。

 そしてその背後を狙うアサシンの姿。

 京真はその場へ急ぐ。

 アサシンが姿を現しているうちに叩く。

 別の敵との戦闘中に奇襲を受けるのを避けるためだ。

 一直線に向かうが間に合いそうにない。

 その時。


「うおっ!」


 巨大な爆発が起こった。

 京真も巻き込まれるが咄嗟のフルガードで防御。

 アサシンは傷を負ったが煙に紛れて姿を消した。

 爆発はサッパーによるものだった。

 近接戦が苦手なサッパーは身を守るために地雷を設置していたのだ。

 だがこれで虎の子の一発も無くなった。

 再設置には時間がかかるだろう。

 京真はフルガードの解除を待つ。

 そして上限の5秒になった瞬間アンカーを放つ。

 そのアンカーは前方ではなく上空に向けられていた。


「捕まえたァ!」


 アンカーが絡みついたのはアーチャーだった。

 浮遊のスキルを使用して空中で一人、耐久していたのだ。

 浮遊はリロードしない、時間制限付きの能力。

 順位を押し上げ、ワンチャンスを狙っていたのだろう。

 そこにカモが現れた。

 屋上で静止しているバーサーク。

 フルガードを使用した京真である。

 解除した瞬間に矢を放ち撃破しよう。

 そんな欲が出たアーチャーは黒煙を避けるため近づいた。

 京真はそれを把握していた。

 その上であえて気付いていないフリをした。

 そしてフルガードの移動制限から解放され、矢を躱した。

 その後アンカーの射程内に入っていたアーチャーにアンカーを当てる。 

 あとは簡単だった。

 アンカーで引き寄せた敵を粉砕した。


「あと二人」


 残りは罠のないサッパーと手負いのアサシンだけだ。

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