9-1 敵たおす?

 京真は昂っていた。

 この日行われた買い物。

 そこで一日中振り回されていた京真。

 そんな彼に待望の瞬間が訪れたのだ。

 今、3人はゲームコーナーに向かっている。

 一通りの買い物を終え、京真の要望が聞き届けられたのだ。 

 それは修行。

 師弟関係になった透との対戦だ。

 本当であればVWOで透と戦いたい。

 しかし今は出先である。

 そのため、タキアンACでの対戦をすることになったのだ。

 しかし、そこには一つ問題があった。


「席が1つ埋まってやがる……」


 設置されている筐体は2つ。

 空いているのは1つだった。

 これでは二人での対戦ができない。

 

「よし。仕方ないからまた今度にしよう!」


 透はこれ幸いと、撤収してまたブラブラと買い物を続けようと提案した。

 だが、京真はそれを承知しなかった。

 今日は散々弄ばれたのだ。

 手合わせの一つでもしてもらわなければ割にあわない。


「ちょっとボコしてどかして来る」


 そう言って空いてる筐体に入っていった。

 透はため息をついて店内モニター前のベンチに腰掛けた。

 少し遅れて麻尋が横に座る。

 その手にはペットボトルが2本握られていた。


「ありがとう麻尋」

「うーん、どっちも美味しい!」

「両方自分の!?」

「うそうそ。はい、こっちが透のね」

「う、うん」


 手渡されたペットボトルは封が空いていた。


「それあんまり美味しくなかったから」

「あ、そこが嘘だったんだ……」

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