3-3 初バトル?

「ふぅ……」

 

 ゲームを終了し、満足気な表情で筐体の外に出る透。

 その姿を確認した京真は、跪いて透の手を取った。


「ふぇ!?」


「(教室でVWOの予約券を)一目見た時から気になってた」


「い、いきなり何を……」


「お前みたいな(強い)奴を探してたんだ」


 最強を目指す京真は、一人で成長するのに限界を感じていた。

 切磋琢磨できる仲間や教えを乞う存在を探していたのだ。


「(お前のプレイに)完全に惚れちまった」


「私なんかでいいの……?」


 京真の目を見て透は尋ねる。


「(師匠になるのは)お前しか考えられない」


 その目をしっかりと見つめ言葉を返す京真。

 その言葉に嘘偽りはない。


「わ、私も――」


「最期まで言わせてくれ」


「うん……」


 透も京真と同じように、切磋琢磨できる仲間を探している。

 と、京真は思っている。


「俺を、お前の、弟子にしてくれ」


 だが、それは勘違いだった。


「は?」

 

 数秒の沈黙。

 そして透は言葉の意味を理解したのだろう。

 膝をついた京真の顔面に膝蹴りを入れて帰ってしまった。


「いてぇ……」


 地面に倒れた京真は天井を見上げながら呟いた。


「やっぱりピンクの水玉だった」

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