3-2 初バトル?

「行くぜオラァ!」


 京真は諸々の設定を終えると、気合を入れて颯爽と戦場に降り立った。

 8人でのオンライン対戦が開始される。

 マップは市街地。

 屋内、屋外で戦い方が変化する戦場だ。

 通常であれば地形を利用して戦うのが定石である。

 しかし、戦闘狂の京真は定石をまるで気にしない。

 目に映った敵を獣のように追い回すスタイルだ。

 戦闘を開始した初期位置から周囲を見渡した京真は、大通りにスポーンした敵を発見。

 そして全速力で接近していく。

 相手はマップなどで周囲の状況を確認している段階だが、目視で索敵を終えた京真はすでに射程距離内まで接近していた。

 

「いただきぃ!」


 京真は片手で大剣を振り下ろした。

 突然の襲撃に対して相手も黙ってやられるつもりもなく、両腕に装備されたビームソードでガードする。

 しかし京真はそれも読んでいる。

 京真の左上にはロングソードが握られており、下からの強烈な一撃は相手の両腕を斬り飛ばすのに十分な威力だった。

 後は次の一手を失った敵を大剣で切り伏せ、京真は早々に1名撃破した。


 次の瞬間。

 京真の頭に強い衝撃。

 遠距離からの狙撃が京真に襲い掛かった。

 一体どこから?

 正確な位置は分からないが、京真は遠距離戦は避けたかった。

 敵の大体の方角にあたりをつけて、弾除けのためジグザグに走って近づいていく。

 京真を襲ったヘッドショットは通常であれば即死物だ。

 だが、相手の銃の威力が低い点、距離が離れて威力が減衰した点、京真の使うインファイト重視のキャラの体力が多い点に助けられた。

 

「アイツか!」

 

 単発射撃のアサルトライフルを躱しながら、時には土の魔法で障壁や足場を作りながら移動を続け、遂に敵の姿を視界に捉えた。

 その時、雷の魔法による範囲攻撃が飛んできた。

 威力が低い攻撃だが、体力が少ない今の京真には致命傷になりうる。

 土の魔法で自身の周囲を包み、身を護る。

 視界が土で塞がれた時、相手が近づいて来たことを京真は気が付かなかった。

 京真は土の壁越しに刀で胸を貫かれ、敗北した。

 そして画面は京真を倒したプレイヤーへ移る。


「上手い……!」

 

 京真はそのプレイヤーの動きに見惚れてしまった。

 無駄のない軽快な動き。

 様々な武器を使いこなす技量。

 攻撃、回避、移動とその判断も完璧だった。

 

「まさか……」


 京真は筐体の外に出て、ゲームコーナーに設置されたモニターを確認する。

 そこには映っているのは店内で稼働しているゲームの映像。

 つまり透のプレイ画面である。

 そしてそれは独特の武器構成をしていた。

 京真を倒したプレイヤーのものと完全に一致している。

 つまり京真を倒した猛者は、透だったのだ。

 京真はその事実に運命的なものを感じた。


(コイツの弟子になれば、俺はもっと強くなれる!)


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