3-1 初バトル?

「待ってたぜ、後鳥羽透!」


 京真はエスカレーターの前で、ご機嫌な透を呼び止めた。

 どうしても確認したいことがあったからだ。

 今日はVWOの発売日。

 その日のうちに手に入れようとする透は、十中八九猛者のはず。

 しかも一分一秒でも早く買おうとして急いで教室を出ていた。

 迷いのない行動。

 恐ろしいほどの執念。

 

(こいつ、できる。)


 教室で蹴りを喰らった時、すでに京真は感じ取っていた。

 透の中に眠る、闘争を求める心を。

 だからこそ知りたい。

 透の強さを。

 どうしても手合わせをしたい。

 最強という頂を目指す者として。


「お前、乾いてるな」


 透はハッとした。

 どうやら図星のようだ。

 戦いを求めていたからこそ予約戦争を勝ち抜き、この場に立っているのだ。

 ならばこれから俺と戦い、存分に力を見せてもらおう。


「俺に付き合え」


 透の返答を聞くより先に、その手を引いてゲームコーナーへ移動した。

 目的はVWOの前作、タキアンACだ。

 しかし筐体の前まで来た透の動きが鈍いことに京真は気が付いた。

 

(能ある鷹は爪を隠すって言うからな。実力を隠したくて戦うのを渋ってるのかもしれねえ……。だったら俺の本気ですぐにお前の本気を出してやるぜ!)


 京真は独自の解釈で自信を奮い立たせ、透をコクーン型の筐体の中に押し込んで、自身も隣の筐体へと移動した。


「行くぜオラァ!」


 

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