第11話 07時11分
俺が何とか久梨亜母からの妨害を受けつつも朝ご飯を食べ終えても――久梨亜がまだリビングに来ていなかった。
まああれでも女子なので、いろいろ準備に時間がかかるのは知っているが。新学期だから遅い?いやいやこれは――と俺が思いつつ考えていると。
「寝てるかもね?ふふふっ」
のんきにそんなことを言ってくる久梨亜母。マジかよ。
「洗面所で……いや、あいつならあるか」
「王子様出動かしら?」
「はぁ……何でスムーズに進まないんだよ……」
「さあさあ王子様?待っているかもよ?」
「王子ではないんですが――って、行きたくない」
「もしかしたら溺れているかも?」
「いやいや洗面所でおぼれるってないかと――」
「わからないわよー」
「「——久梨亜だから」」
ハモる俺と久梨亜母。うん。そうなんだよ。あいつホントおかしなことするんだよな。家の外なら普通なのに――室内だと危なすぎることがあるんだよな。ってかそんなことが予想できるというか。あった気もするが。それでものんきな久梨亜母。指導というか、教育しろよなのだが――もう諦めるしかないらしい。こういう家庭なのでね。
「——仕方ない。見てくるか」
「お願いね。王子様ー」
「王子様ではないです」
「旦那?」
「もっと違います」
「あらあらー」
ちょっと久梨亜の母と無駄なやりとりをしながら俺は洗面所へと向かった。
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