第9話 06時54分
久梨亜の着替え待ち中。その2。今度はちゃんと部屋の中から物音がしている。大丈夫だ。次は着替えていると思われる。すると――階段の方からも足音が聞こえてきたのだった。
「あらあらー。まだ起きてないのかしら?」
久梨亜の母がやって来たのだった。
「一応起きました。が―—今日も着替えまでがなかなかたどり着かなくて」
「甘えてるわね―」
「あれは――甘えなのか……」
先ほどのやり取りを思い出して――いや、あれはガキの行動だと決定付けた俺だった。
「久梨亜は朝からイチャイチャしたいのよー」
「ふざけているだけかと思いますが?」
「あらー、そういう時は、すっぽんぽんに脱がせたら嫌でも起きて着替えるわよ?」
「それを俺がしたらお巡りさん呼ばれるかと思いますが?」
なんか――さっきの雰囲気からは――出来そうな気もした。ってそんなことしないからな?さすがにそんな無理矢理な事したら久梨亜が激怒するだろうからな。
「大丈夫よー。ゴウくんなら。グイグイ行っちゃえ」
「……絶対。大丈夫じゃない――って楽しみすぎですよ」
微笑んでいる久梨亜の母だが――さらりといろいろ爆弾発言を落としてくるのもいつもの事。ってか。久梨亜母は何をしに来たのだろうか?などと思っていると。久梨亜の母の方が何をしに来たのかちゃんと思い出したらしい。
「あっ。そうそう、ゴウくん。朝ご飯ジャム何がいいかしら?ちょうど開けないとーで、ブルーベリー。アンズ。はちみつ――バター。あんこ。メープルシロップがあるわよ」
「種類がすごいですね」
「ゴウくんのお父さんが送ってくれたのよ」
「なるほど。納得です」
こんなところで登場する俺の父親。親父はよく留守にして、いろいろなところへと行っているため。その現地にて見つけたものをよく沓掛家に送っている。今回はジャムなどを送ったらしい。って――それにしても朝から豪華である。感謝感謝である。1人だと適当に。だからな。
「ゴウくんどれにする?」
「あっ、えっと――じゃあバターメイプルで」
「了解ー。じゃ、もうしばらく久梨亜とイチャイチャしててねー」
「イチャイチャしてませんから」
「またまたー。朝から激しいの?」
「久梨亜の着替えを待っている時も疲れるとは……」
「ふふふっー」
それだけ言うと久梨亜の母は下へと戻っていった。
ちなみに、これだけ廊下でバタバタ話していても、久梨亜が参戦してくることが無いのは――多分聞いてない。うん。いや、こういうことはよくあるから。前に久梨亜もなんか言ってくれよ。と言ったことがあるんだがね「仕方ないよー。そういう話が好きだから」と、言っていた。うん。先ほどのやり取りはよくあることで娘。ガキも諦めるレベルらしい。
っかそんなことより久梨亜マジで着替え出来たか?時間的には――ギリギリアウトか――いや、まだセーフか。などと思いつつ俺は再度久梨亜に声をかけたのだった。
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