第3話 名前
魔王テオドシウスの襲撃から一日が経過した。
エウゲニオスとフリッツの話し合いの結果、テッサニア王国の民には一刻も早く魔王とその軍が城を去ったこと、そして、まだその脅威が完全にはなくなってはいないことを伝えることとなった。伝える際、エウゲニオスとテオドシウスの戦いの様子については語らずに、フリッツが魔王を追い払ったということにした。これは、エウゲニオスの存在をこっちの世界の住民に知られたくないというフリッツの意見と自分の攻撃が一切通じなかったことに慌てまくったことを知られたくないエウゲニオスの意見が一致したからだった。
魔王軍撤退から数時間後----
フリッツとエウゲニオスは二人だけで、一時的に亜空間に戻り今後の対応について話し合っていた。
「名前?」
「うん、変えてほしいんだよね、こっちの世界では」
フリッツは少し申し訳なさそうに、しかしワクワクを抑えきれない様子で言った。
「なぜだ」
「えーとね、理由は二つ。一つは、万が一にも君が別の世界から異世界転移してきたってことを誰にも知られないため。
もう一つは、エウゲニオスなんていかにも魔王っぽい名前、魔王を倒す『英雄』には相応しくないと思ってね」
「ちょっと待て。一つ目の理由だが、この世界に俺のことを知っている者がいない限り名前で異世界から来たってことはバレないだろ」
「現に魔王は知ってたじゃないか。幸い君は名を名乗ってなかったからまだ名前は知られていない可能性はあるけど。それに、この世界の人間に異世界の存在を知らせることは固く禁じられているだろ?君はそっちの世界では一国の王だ。エウゲニオスの名でこの世界で活動すれば可能性は限りなく低いが互いの異世界の存在が明るみに出ることだってある。だから万が一に備えて君はこの世界の住人として生活してたことにしてほしいんだ」
確かにテオドシウスは俺のことを知っていた。名前もおそらく知っていると考えていいだろう。だが、他の人間にエウゲニオスという名が知られることが互いの異世界の存在が明るみに出ることにつながるのだろうか?それはわからんがフリッツの考えていることならわかる。
きっと二つの世界が交わることを極力避けたいのだろう。すでに俺がこっちの世界に転移していること自体あいつからすれば、というより歴史的に見ても異例中の異例。できる限りの解決策をあいつなりに考えたのだろう。協力はしてもいいが・・・
「二つ目の理由だが、なんだ魔王っぽい名前って。俺はこの名前気に入ってるんだけど」
「いやー、考えてみたんだけどその名前じゃどうもしっくりこなくてね。勇者エウゲニオス!とか英雄エウゲニオス!とかミスマッチ感すごいだろ?」
「ミスマッチも何も、俺は勇者や英雄になる気はない。俺がすることはそいつらの育成で、俺が表立って何をかすることはないから安心しろ。
大体今回のことだって魔王撃退はお前がしたことになってるし、魔王の討伐も秘密裏に行うなら俺の名前が知れ渡ることもないだろ」
エウゲニオスの意見をフリッツは目を閉じながら聞いていた。しかしエウゲニオスの意見に納得している様子ではなかった。
数秒間目を閉じたまま何かを考えているようなそぶりを見せたと思うと、カッ!!と目を大きく開けフリッツが話し始めた。
「うん!君の言うこともよくわかる。でも話はちゃんと最後まで聞いてくれ。三つ目の理由をまだ話してないだろ?」
理由はさっき二つってお前自分で…
エウゲニオスはもう何も言わないことにした。
「三つ目の理由…、それは僕がもう良い名前思いついちゃったから!」
「いやおい!それはおかしいだろさすがに。なんでお前が決めるんだ、俺の名前は俺に決めさせろ。ていうかまだ変えるって言ってな…」
「君の世界とこっちの世界とじゃ、言語の発音が違うのは知ってるだろ?」
「聞け!」
フリッツはお構いなしに続けた。
「向こうの世界じゃエウゲニオスだけど、こっちじゃその名前は特に全然発音違うんだよ!」
フリッツは杖の先から出した白い光で空中で文字を書いた。
E U G E N I O S。エウゲニオスの綴りだ。
俺の世界とフリッツの世界では言語の発音が違うのは知っていた。それはそういえば前に聞いた気がする。俺の名前は向こうでなんて発音するんだったか。確か・・・
「ほんとに、ちょっと変えるだけでいいんだ!」
フリッツが目を輝かせながら杖を振ると、空中の文字は動き出し、エウゲニオスの近くに移動してきた。そして、後ろの三文字 I O S が消えた。
「E U G E N。ユージーン、なんてどう!?」
「ユージーン……!」
エウゲニオスはフリッツが考えた名前に期待していなかったため、割と普通の名前を勧められたことに驚いていた。
どこかで聞いた名前だな…
エウゲニオスはそう思ったがどこで聞いた名前だったのかは思い出せなかった。
確かにこれなら元の名前とは全然違う上に気に入っている元の名前の要素も取り入れることができる。それに悔しいが―――
「……なかなかわるくない」
エウゲニオスもこの名前を気に入ってしまった。
「でしょーーーーー!?かっこいいでしょこの名前!」
フリッツは飛び上がって喜んだ。
「じゃ決まりで!」
フリッツは空中に浮かぶ文字をくるくると弄びながら嬉しそうに言った。
「改めてよろしくね。ユージーン」
「まだしっくりこないな」
二人は向かい合って笑いあった。
「あ、そうだ。そっちの世界の君の代わりの宰魂者だけど、どうする?」
「代わり?」
「うん。君はもう僕との『誓い』によって、両方の世界を行き来できるようになってるから代わりの宰魂者を出してもらわないといけないんだ。
誰がいいかな」
「あー、そうか。確かに魔王討伐と魂の管理両方やるのはきついしな。…そういうのはブラドに任せる」
「例の吸血鬼の彼だね。わかった、さっそく招集をかけておくよ。ああ、でもユージーンも一度向こうに戻るだろ?」
「そのつもりだ。色々準備もあるしな」
「じゃあその時ブラド君に詳しい説明よろしく。どうせ何もしゃべってないんでしょ?」
「ま、あいつなら引き受けてくれるさ」
◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇
「え、なんか今」
「どうしたの、ブラドさん」
「すごい嫌な予感がした…」
ブラドに悪寒が走ったその瞬間、ブラドの左の掌が発光し始めた。
「ええ!!ちょっ、な、なんだこれ!めっちゃ怖い!」
光が止んだと同時にブラドが自身の左手を覗くと、赤色の魔法陣が刻印されていた。その魔法陣にブラドは見覚えがあった。
「これって、エウゲニオス様の…」
次の瞬間、ブラドが座っていた玉座の目の前にまたも赤い魔法陣が出現した。
「ええ!?次は何!!?」
魔方陣から現れたのはブラドの主人であり、この国の王であるエウゲニオスだった。
「エウゲニオス様!?あんた一体どこで何して…っていうかこれなんですか?急に掌に現れたんですけど!」
ブラドは左の掌をエウゲニオスに見せるように突き出した。
「エウゲニオスさまおかえりー」
「おう、カサエルただいま。あ、ブラドお前なんでそこ座ってんだよ」
「座ってません!」
「座ってたよー」
カサエルにさっきまで玉座に座っていたことをばらされるとブラドは焦って話題を変えた。
「ま、まったくなんで遅くなるならすぐに連絡しないんですか」
「もう今説明するから。…あーそうだな、ブラドはそこ座ったままでいいぞ」
「だから座ってない…って、え。いいんですか」
「ああ、しばらくそのイスお前にやる」
――――――これまでの経緯を説明してる間、ブラドとカサエルは二人とも黙って話を聞いていたが、二人の表情の変化はまさに正反対で、話せば話すほどブラドが不安そうな顔をするのに対し、カサエルは目を光らせて体を前のめりに話に夢中になっていた。
特にエウゲニオスとテオドシウスの互いの攻撃が効かないことを話した際には、ブラドが驚愕し信じられないといった表情をしている横でカサエルは大爆笑していた。
「-----じゃあつまり、その魔王を倒すためにもう一つの世界に行って、旅をするということですか?」
「なにそれー!楽しそー!」
「そういうことだ」
「そういうことって…。もう一つの世界なんて、話には聞いてましたが本当に存在するなんて信じられませんよ…。大体!その魔王を倒すまで、こっちの王の仕事はどうやっ…て…」
何かを悟ったブラドの顔が一瞬で青ざめた。
「イスをやるってそういうことですか!?どんだけ人に仕事押し付けたら気が済むんだあんたは!」
「お前になら任せられると思って俺は…」
エウゲニオスの言い訳が耳に入らないほどブラドは落胆している様子だった。
「そうやっていっつも『王』のめんどくさいことばっかり押し付けて自分は楽して…私がどれだけ苦労してるかも知らずに…」
「すまんと思っている」
「もういいですよ、よく考えたら普段からほとんどの仕事私がやってるんだから今までと何も変わりませんし」
「そうか、そうだよな」
ブラドは完全にあきれ果てた様子で吐き捨てたが、自分の左手を見て急に刻印された赤い魔法陣のことを思い出した。
「そうだこれ。何なんですかこの魔法陣。エウゲニオス様にもあるやつですよね」
「あーー、それな。それは、えっとまあ、なんだ。後で、フリッツから念話で連絡くるから、その時教えてもらえ」
「え、フリッツさん?向こうの世界の王様が私に?」
…今ブラドに王の仕事以外にもう一つ大きな仕事押し付けるなんて言ったら今度こそ怒られそうだから今は黙っておこう。
「じゃあ、俺準備とかあるから」
「え、今教えてくれないんですか!」
エウゲニオスはとりあえずその場から離れた。
◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇
魔王襲撃から一夜明けた早朝ーーーーーー
フリッツは国中各地に兵を送り、魔王が去ったことを知らせる仕事のため早朝から大忙しだった。ユージーンとの話し合いの結果、魔王をフリッツが自ら追い払ったことになっているため、国民はフリッツ王を讃えた。
しかし、この国の王であり国内最強の魔導士が左手を失ったこと、多数の被害者が出たこと、そして何より魔王はまだ生きているという事実を耳にした国民は手放しで喜べるわけではなかった。
「なんか罪悪感すごいよなあ…」
フリッツはボロボロになった城の修繕を城の兵士たちとともに行いながら、ため息交じりに呟いた。
「そんなことありませんよ、王がいなかったら被害はこんなものではすみませんでした」
隣にいた兵士が作業をしながらフリッツの独り言に返事をした。城にはいたるところに穴が空いており、城の中も戦闘による炎で内装や家具類はほとんどが燃え尽きた。
無事だった城で働く兵士や作業員は終日復旧作業で疲労がたまっているように見えた。
フリッツは、兵士の言葉で魔王の襲撃に対する疑問を思い出した。
…そう。今回の魔王襲撃で、唯一の救いは死者が出なかったことだ。
僕が城内にいた兵士や作業員を逃がしたこともあるけど、襲われた兵士や一般人は殺されずに捕らえられていた。
あれだけ派手に暴れたにしては、この結果は奇跡としか言いようがない。殺さないように指示が出されていたのか。
一体なぜ?
奴らの目的は、何なんだ?
—----数時間後
「あーー疲れた。こりゃ数日かかるぞ…」
多くの兵士が作業を中断し、休憩している最中、一人の兵士が城下町の方向から大勢の馬に乗った人々の群れが向かってくるのに気が付いた。
「ん、あれは…」
人々の群れがだんだんと近づき、先頭にいる全身銀色の鎧をまとい、長いストレートの銀髪をなびかせた女戦士の姿が見えた。
「ディアーナ軍隊長の帰還だ!!」
「きっとこの襲撃の知らせを受けてお戻りになったんだ!!」
「ああ、だがあの後ろの兵士たち、数日前城を出てきた時より増えていないか?負傷しているように見えるぞ!!」
「まさか!エルアールとの闘いはずいぶん前に終ったのでは!?」
ディアーナ率いる王立軍の一団が城の前に到着した。作業を中断していた一般兵と作業兵は今や全員がディアーナを見ていた。
特に、普段王立軍の軍隊長をお目にかかることなどめったにない作業兵は釘付けになっていた。
「あれがこの国の王立軍で最強の女戦士『銀弓のディアーナ』…!」
「あんなに美しい女性だったなんて…」
作業兵がディアーナの風になびく銀の髪に夢中になっていると、隣の一般兵が作業兵の耳元でささやいた。
「確かに見た目はそうだが中身は…」
「ふん、ものの見事に壊されおって」
ディアーナはボロボロになった城を一瞥して鼻で笑いながら悪態をついた。
「ちょうどいい、無駄に派手で偉そうなあの城はずっと嫌いだった。これを機にもっと機能的で堅固な要塞にでも建て直せばいいのだ」
そういうとディアーナは、休憩中の兵士達に目を向けた。
「お前たち、ここで何をしている」
ディアーナの目に睨まれた休憩中の一般兵たちが全員にビクリとたじろいだ。
作業兵たちはディアーナに話しかけられ、顔を少し赤くし嬉しそうだった。
「わ、我々は現在城の復興作業の最中でしてその、少し休憩を…」
「王が働いているというのにお前らが休憩中とは、私がいない間にずいぶんと偉くなったのだな」
兵士の顔がたちまち青くなった。
「我々昨晩からずっと働き続けていて、その…」
「言い訳など聞かん!!総員直ちに作業に戻れ!!!」
「「は、はいぃ!!!!」」
休憩場所にいた一般兵、作業兵の全員がダッシュで作業場に向かった。
「めちゃくちゃ性格きつい!!!」
「あんなに麗しい美女なのにぃ」
「いや、俺はそのギャップが意外と…」
などと作業兵が走りながらしゃべっていると一人の作業兵が一般兵に向かって尋ねた。
「でもあの人、たった今帰ってきたばかりなのに、なんで王が働いてるってわかるんだ?」
◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇
「もう行っちゃうんですか、エウゲニオス様」
「ああ、大体準備は終わったしな。なに、魔王討伐なんざすぐ終わるさ」
エウゲニオスは小さな袋を腰のベルトに取り付けながらそういった。
「じゃあ、くれぐれも俺の留守の間この国をよろしく頼む。魔王代理がんばれよブラド」
「それはもういいですけど、本当に大丈夫なのですか?そのテオドシウスとかいう奴は、エウゲニオス様の攻撃が効かないのでしょう?どうするつもりなんですか」
「攻撃が効かないのは奴も同じ。それに、やることはひとつだ」
「勇者パーティーを育てる…ですか。本当にうまくいくと思っているのですか」
「大丈夫。うまくいくってことはお前らが証明してくれてる。まあ、育てたのは勇者パーティーじゃなくて魔王軍だけど」
見送りに来たブラドとカサエルはそれを聞くと顔を見合わせ微笑み合うと、カサエルがエウゲニオスに一歩近づき、エウゲニオスの手を取り別れの言葉を贈った。
「たまには帰ってきてね、エウゲニオス様」
さみしそうな顔をしているカサエルの頭をエウゲニオスは笑いながら撫でた。
「ああ、じゃあちょっと行って異世界救ってくる」
エウゲニオスは、玉座の前にある赤い魔法陣の前に立った。
「あ、そうだ。お前にあげるものあるんだった。ほら」
そういうとエウゲニオスは、ストロー付きの瓶に入った赤い液体をブラドに差し出した。
「縞ウサギの血のほうじ茶風味のやつ。お前好きだろ」
「な。だからこれは別に好きで飲んでるわけじゃ…」
「そう?お前自分で気づいてないかもしれないけど、その味の時いっつも幸せそうな顔してるぞ?」
「え…」
「今まで魔王の仕事引き受けてくれたお礼だ。じゃあ行ってくる」
魔法陣が輝はじめ、エウゲニオスの体を包んだ。
エウゲニオスは静かに微笑み、ブラドとカサエルにしばしの別れを告げた。
「いってらっしゃーーーーい!!」
カサエルが元気に手を振りエウゲニオスを見送った。
魔法陣から光が消え、エウゲニオスの姿は完全に玉座の前から消えていた。
血液の入った瓶を握りしめ、呆然と立ち尽くしているブラドの顔をカサエルがにやにやしながらのぞき込む。
「よく見てくれてるね、エウゲニオス様」
「まったく、これだけで今までの分の借り返せるわけないでしょう」
そうつぶやくとブラドは小さく微笑み、玉座に向かって歩きだした。
「さあ、東のダブレフとの問題を解決しないと。カサエルが軍団を襲ったせいでまた面倒なことになってるんですから」
「先に攻めてきたのはあっちだよー」
ブラドが満足気に正式に自分のものになった玉座に座った瞬間、左手の掌の魔方陣が光り始めた。
ブラドの体が白く輝き始める。
そして、ブラドの脳内に直接流れ込んでくるように一人の男の声が聞こえた。
(君がブラド君だね。話は聞いてると思うから、とりあえず君を一度こっちに招待するね)
「ええ!声が頭に!怖い!う、うわああぁぁぁぁぁ!!!!!」
ブラドを包む光がまばゆく光り、ブラドは玉座から姿を消した。
「い、いなくなっちゃった」
カサエルは玉座を見つめたまましばらく立ち尽くしていた。
◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇
...俺はユージーン、俺はユージーン、俺はユージーン、俺はユージーン。
異世界へ転移している最中、エウゲニオスは向こうの世界での自分の名前を頭に刻み込んでいた。
パッと目の前が明るくなり、フリッツの城の中に到着したことがわかると、ユージーンは周りを見渡した。
目の前には、見覚えのない王立軍の兵士と負傷した兵士たちが横たわっているのが見えた。おそらく城の中で一番広いこの王の部屋は現在、簡易的な医療設備が整えられ負傷した兵士達を安静にするために使われているようだ。
「だ、誰だお前は!?」
負傷した兵士の手当てをしていた兵士が、急に現れたユージーンに向かって叫んだ。
その声を聴き、部屋中の視線がユージーンに集まった。
…まあ、いきなりこんな現れ方したらこうなるよな。それより、
昨日は気づかなかったが、負傷した兵士達はこんなにいたのか…。というか兵士の数多いな。こんなにいたか?
「何者だお前は!まさか、魔王軍の手先ではあるまいな!」
「落ち着け、俺はアレだ。お前らの王の知り合いだよ、フリッツに言えばわかる。あいつ今どこにいる?」
「先ほど用事があるといってから姿は見ていない」
兵士は王の名を聞き驚いたようだったが、なおも警戒した様子で答えた。
用事?なにしてんだあいつこんな時に!
「そうか。俺はユージーン。怪しいもんじゃないし、ましてや魔王軍の手先なんかじゃない」
なんでこんな言い訳みたいなこと言わないといけないんだ。だが俺が魔王を追い払ったことをいうわけにもいかないし…
ユージーンがそう思っていると、人込みをかき分けて全身銀の鎧をまとった銀髪の女戦士がユージーンの前に出てきた。
「誰だこのギンギラ女」
ユージーンがそう言うと、周りの兵士が数人怒りの声を上げようとしたが、ディアーナがそれを手で制した。
「この国の王立軍の軍隊長、ディアーナだ。お前と二人で話がある」
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