第24話 世界で注目される"NEO"
「Hey Guys! 今日はついに、俺のライバルだった"NEO"がデスVのオンライン大会に出場する日だ!」
俺はユーリ。
三年前の大会、決勝で"NEO"が率いるチームと戦って、一方的に敗北してしまった。
その前からも俺は大会で"NEO"と撃ち合い、一度も勝てずに終わった。
次の大会では絶対に勝つと特訓をしていたのだが、待っていたのは謎の失踪。
奴が消えたと同時に、俺は大きな喪失感に襲われて事実上プロを引退したんだ。
現在はストリーマーとして活躍していて、正直プロ時代より収入がいい。
さて、今日は俺が勝手にライバル視していた"NEO"が、ジャンルを変えて表舞台に立つ日だ。
有志が英語に翻訳してくれた《"NEO"リザレクション》の動画を観たが、まさかあの大会直後に悲惨な事件に遭遇しているとは思ってもみなかったぜ。
もう奴の神掛かったFPSの腕前が見れないのは残念だが、格ゲーでついに奴が暴れるんだ。
俺は別に奴の事は嫌いじゃなかった。むしろ大好きだった。そして俺にとっては乗り越えるべき壁だった。
だけど、右腕を怪我して一度は挫折して、そして三年経った今、表舞台に這い上がってきたんだ。こんなに嬉しい事はねぇよ!
だから俺は、リアル配信で俺のファンと一緒に、"NEO"の活躍を観るスケジュールを組んだんだ。
俺のファン達も"NEO"の事が大好きだ。
こんなの、e-sportsとしては燃えない訳がない。
「全世界の"NEO"ファンが、今日を待ちわびていたと思うぜ! 当然、俺もその一人だ!!」
――YEAH!! その通りだぜ!
――まさにリザレクションだ!!
――おお神よ、この日に仕事が休みだった事に最大級の感謝を!
――NEO,I love you!!
ファン達も熱狂している。
そりゃそうだ、"NEO"はFPS界隈では伝説の存在だった。
三年間の沈黙を破って、ついに表舞台に帰ってきやがったんだ。
燃えない奴なんていないだろうよ!
ふと、Discodeに一通のメッセージが入った。
「皆ちょっと待ってくれ、今チャールズからメッセが来た」
――ワオ、チャールズってあのチャールズか!?
――チャールズもデスVのオンライン大会を見ているのか!!
チャールズ。
彼は去年の《カウンター・デス・ストライカー》の世界一になったチーム《ワン・パンチャー》を率いるチームリーダー。
俺はちょっとした縁があり、彼との繋がりを持つ事が出来た。
チャールズは格ゲーに一切の興味を示していなかったが、どういうメッセージを送ってきたんだ?
「なになに? 『ユーリ、君には失望した。カビ生えた古臭いレジェンドに熱狂してないで、時間を有意義に使うべきだ』だって!?」
――What!!!!!!????? チャールズ、F〇〇k You!!
――Booooooooooooo!!!!!
――〇uuuuuuuuuuuuuuck!!!!!
おお、コメントが荒れまくっている。
そりゃそうさ、何せ俺達のレジェンドを馬鹿にしやがったんだ。
カビ生えた古臭いレジェンド?
はっ、馬鹿にしちゃいけねぇな。
あいつは、そんじょそこらのプレイヤーとは違うんだよ。
本気でゲームの為に全力を注げる、真のプレイヤーだ。
このデスVだって、とんでもない形で仕上げてきた筈だ。
だからきっと新たな伝説が生まれるかもしれないんだ、リアルタイムで見届けないなんて、ストリーマーとしては失格だぜ!
「さぁ、大会までカウントダウンだ! 今回は日本限定のオンライン大会だから解説も日本語限定だ。だから俺がリアルタイムで実況していくぜ!」
俺はこの日の為にデスVの事をガチで勉強してきたんだ。
本当は日本語もマスターしたかったんだが、ありゃ無理だ。日本語は言語じゃねぇ。
「おい、全世界の"NEO"ファンよ、ぜってぇ見逃すなよ!? 俺が予言してやる、あいつは絶対にとんでもない事をやってくれるからよ!!」
他のストリーマーも"NEO"の事を取り上げていて、俺と同じようにリアルタイム配信をやっている。
だがどうやら俺の配信に集中しているようだな、現在接続数は三十万を突破した。
悪いな、話題性に食いついて配信している雑魚ストリーマーとは違うんだよ、俺は奴と対峙した事があるんだから、より奴の事を語れるんだよ。
おっ、皆俺の所に視聴しに来てくれたようだ。四十万人まで増えた。
リアル視聴者が過去最高人数を達成したのは嬉しいぜ。
「予定だと、"NEO"は第二回戦らしい。まぁゆっくり待とう!」
一回戦目はすまないが興味がない。
何せ"NEO"じゃないからな。
一回戦はデスVを知らない視聴者向けに、システムを説明しながら実況していく。
視聴者が理解を深めた所で、一回戦は終了した。
この勝者が、"NEO"が勝利した場合に次戦で対戦する相手になる訳だ。
そして待ちわびた、そう、世界中のe-sportsファンが待ちわびた、奴の試合!
俺は心が躍った。
だがその数十秒後、俺は視聴者と共にこの一言を発した。
『
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