頭を撫でる博士と助手の話
「助手くん、君は可愛いな~、よしよし、よしよし。」
「……」
……博士はたまに良い事があると僕の頭を撫でてくる。
だけど……流石に恥ずかしい。
「……博士、僕はもう二十歳を超えた男なのですから、流石に頭を撫でられるのは恥ずかしいですよ。それに可愛くもないですし。」
「いやいやいや、君はすごく可愛いよ!君は私の癒しなのだから!それにそんなに恥ずかしがらなくても良いだろう。あっ、もしかして、美人な私に撫でられているから恥ずかしがっているのかな?」
「……そういうことは自分で言うものじゃないし、人をぬいぐるみかのように癒しを求めないでくださいよ。まったく……」
何と言うか悔しいな。
いつも僕ばかりが恥ずかしくさせられているのはおかしい。
……少しやり返してみるか。
そう考えた僕は満足した様子で実験に戻ろうとしている博士の頭を後ろからゆっくり撫でる。
「ヒョエッ!」
すると、博士は悲鳴とともとれるような驚きの声が聞こえた。
僕はそんな声を聞き流して、サラサラとしている博士の頭を撫で続ける。
「じょ、助手くん……?君は、い、一体何を?」
博士はギギギとまるで油を差していないロボットかのようにゆっくりこちらに振り返ってくる。
「なにをって、さっきまで博士が僕にしていたことをしているだけですよ。今までのちょっとしたやり返しです。」
「な、なるほど……?」
博士、あまりにも混乱しているのか、赤い顔でぐるぐる目になっている……
「それでどうですか?今までの僕の気持ち分かりましたか?」
「う、うむ、頭を撫でられるのは、こ、こんなにも恥ずかしいのだな……」
博士は尚更顔を赤くしながら、小さく呟く。
……え、何この雰囲気。
何か反応がおかしい気が。
僕はそう考えて、博士の頭から手を離そうとする。
「え、ちょ、なんで止めちゃうの!」
「い、いや、なんか、変な雰囲気になってきたので……」
「嫌だ、嫌だ!止めないで!お願いだから。」
……めっちゃ、ウルウルした目で懇願してくる。
そ、そこまで……?
「……そこまで言うのなら、もう少しだけ……」
「やったー!ありがとう!」
という訳でまだまだ博士の頭を撫でることになってしまった僕なのでした。
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