空腹な博士と助手の話


「ねぇー、助手くーん、お腹空いたよ~。」


今日も2人しかいないこの研究所では、博士の情けない「ぐぅ~」という音が響く。


「またご飯を食べるのを忘れていたのですか?」


「いやー、昨日の実験が楽しすぎて、ご飯を食べるのを忘れていたのだよ。その代償で今、物凄い空腹感に襲われている。」


「はぁー、なるほど。研究熱心なのは良いですけどくれぐれもご自愛してくださいよ。」


「うむ、これから気を付ける。」


「それなら良いのですが。それじゃあ、これからマヌケな博士のために何か食事を作りましょうかね。」


「……なんか一言多い気がするが、よろしく頼む。」





数分後




「はい、出来ましたよ。どうぞ博士。」


「おぉー、これはこれはどうもありがとう。それじゃあ、頂くね。」


博士は勢いよく、僕の料理を胃へと放り込んでいく。

……そんなにお腹空いてたんですね。


「あぁ、もう、そんなに勢いよく食べるとのどに詰まりますよ。」


「おぉ、すまない。これははしたない真似を。いやー、もうお腹が空きすぎていてね。」


「だとしても、気を付けてください。」


「うむ、分かってるよ。……それにしてもやっぱり君の料理は美味しいな。」


「それは良かったです。料理には少し自信があるので。まぁ、1人暮らしが長いからそれなりに料理が上手くなったという感じですが。」


「なるほどねー。どうりで旨いわけだ。……そうだ!君に頼みがあるのだが。」


「なんでしょう?」


「毎日私の朝ご飯を作ってくれないか!」


ブッ!ゲホッゲホッ


「……僕の料理を褒めてもらえるのは嬉しいのですが、そういうセリフは勘違いされてしまいますから気を付けてくださいね。それじゃあ、僕はこの試験管達を洗いに行ってきますね。」


僕はそうして、試験管を洗いに行くためにその場を後にする。




そして、この研究室には私ただ一人。


「……うぬぬ、……上手く……伝わらないものだな……。」


私が顔を赤くしながら、言ったあの言葉は彼には伝わっていないのだろうな……




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