寝たい博士と助手の話
「うーん、椅子が硬くて眠れないな。」
新幹線での移動中、隣の席に座る博士が突然そんなことを言いだす。
「それじゃあ、寝なかったらいいんじゃないんですか。」
「なんてこと言うのだ、君は。ホント助手あるまじき発言だよ。せっかく、この可愛い私が悩んでいるというのに君は。」
「自分で自分の事を可愛いって言う博士の方がどうかと思いますけどね。……それじゃあ、このネックピローでも使いますか?」
「……うーん、それじゃあ足りないな。」
「それだったら、このクッションでも。」
「……それでも足りないな。あ、そうだ、助手くんの肩を借りて寝ることにしよう。」
博士はポスッと僕の肩に頭を寄りかかってくる。
「いや、何でですか。どう考えてもこれらのグッズの方が寝やすいですよ?」
「まぁ、いいじゃないか。私からしたらこっちの方が寝やすいのだよ。」
「ふーん、そうなんですか?」
「あぁ。それじゃあ、私は寝るから。目的地に着いたら起こしてくれ。」
「分かりましたよ。」
それから、少しして僕はあることに気づく。
「うん?ちょっと待ってください博士。目的地までこのままという事は僕はずっとこの体勢で……ってもう寝てる。まぁ、最近は夜遅くまで実験をすることが多かったから仕方が無いか。思う存分寝かせてあげよう。」
僕はそう考えて、目的地に着くまでこの体勢でいることを覚悟する。
一方のその頃
「ま、まさか、本当に助手くんの肩枕で眠れるとは、冗談のつもりだったんだが……。ど、どうしよう、ドキドキしすぎて眠れそうにないな……。うぬぬぬ。」
博士がそんなことで葛藤していたことなど、僕は知る由もなかった。
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