第18話 どうやら疑いが晴れました
「その邪悪な存在?と言うのがなんなのかわかりませんが……それじゃ開示しますね……ステータスオープン」
【イサム・ノウミ】
Lv.13
職業 変質者
HP 930
MP 2520
力 45
敏捷 1755
守備 79
魔力 1031
精神 978
なんだっけこれ? 2222
おっ、結構レベルが上がってるな、あのおっちゃんもいい養分になったものだ。
とにかくこれで誰でも見られ……ふぁっ!? そういや職業変質者なの忘れてたっ!?
「これは……」
あかん。ロバートさんの顔めっちゃ顔しかめてる。ついでにエミリアちゃん侮蔑の表情だし。俺そっちの趣味ないのよ?
あっ、あのね……これは違うのよ……? これは卑劣にしてゴミ屑たる駄女神の嫌がらせで……あぁチクショウっ!!
「おい駄女神っ!! 今すぐこの変質者を取り消せっ!!!」
「っ?!……い、いったいどうしたんだいイサムくん? それに今……えっ?」
あっ、ヤベェ……慌ててて俺以外も居るの忘れてた。とりあえず草食ってごまかしとこ。モサモサ……ってお?
【イサム・ノウミ】
Lv.13
職業 異常者
HP 930
MP 2560
力 45
敏捷 1755
守備 79
魔力 1072
精神 1002
なんだっけこれ? 2222
「って誰が異常者かっ!!」
あの駄女神どうにかしてこの世界に引きずり降ろしてシバけないかなあっ?! 今なら女であろうがこの草紳士、殴れますぞっ!!
「職業が……変わった……? それにこの数値、なによりあれを……君はやはり邪悪な存在の手先、或いは信奉者なのかい?」
へあ? ちょっとロバートさん剣呑な雰囲気でなに言ってんの? てか職業が変わった事と信奉者、関連する事と言えば……おいまさか?
「なぁ、もしかしてだけど。邪悪な存在ってのは……女神の事か?」
いや、自分で言っておいてあれだけどさぁ……さすがにそれはないよな。
だって仮にもこの世界の神だよ? 駄女神とはいえ何をどうとち狂ったら邪悪な存在なんて……そういやとち狂ってるから俺この世界に来たんだったわ。
うん、あれは邪悪だわ。討滅すべき悪神だな。
「あれを……女神と? そうか、君はそちら側のに「ちょちょっと待ったああああっ!!」……なにかな? 言っておくけど言い逃れはさせてあげられないよ」
えっ? さっきまでの温厚で人好きのするにこやかなロバートさんはどこ行ったの??
……なんか同じ表情なのに侮蔑の感情が透けて見えるって言うか、威圧感めっちゃ感じるんですけどっ?!
それにエミリアちゃんもいつの間にか立ち上がってなんか剣抜いちゃってるんですけ……あっ、手足めっちゃプルプルしてる。大丈夫? 脚さすさすしてあげようか?
っじゃなくてっ! やっぱりかっ!? やっぱりあの駄女神が邪悪な存在なのかっ!!
あれに訴えかけて職業が書き変わったせいで手先だかなんだかの疑いが確信にかわったのかっ?!
どうするっ?! どうすればあの駄女神廃絶、処刑執行者筆頭過激派活動家だと理解してもらえるっ!?
というかそもそも──
「おいコラクソボッチ駄女神ぃっ!!! テメェ自分の管理する世界ですら嫌われてるんなら転移する前に言えやクソボケがぁっ!!! ちょっとこっち降りてこいっシバき倒してやっからよぉっ!!!」
「……言いたいことはそれだけかな? なんのつもりか知らないけど、わざわざあれに送り込まれた手先だと自白したか──っ?!」
──ピロンッ♪
ひいぃぃっ……ってなに今の音?
んあ、なんだステータス画面に……新着メッセージ……? えっ、これメッセージ機能があったの?
ええっと、開いて……いいのかな? なんかロバートさんの動き止まってるし、エミリアちゃんは……なんかまた腰抜かしてるわ。
別に俺が意図して音を鳴らしたワケじゃないけど、またビビらせちゃったな、おもらしとかしてなきゃいいけど。
まぁいいや、開いちゃえ。
[申し訳ないけどイーリスをそちらに降ろすのは神族会議で禁止されてるから君が殴るのは諦めてね。
代わりに私が雷落としておいたからそれで矛を納めてくれる?
地球の神ゼムスより
追伸 メッセージ機能は信仰が一定値を超えたから一方的に送れる神託みたいなものです。]
イーリス? ゼムス? どこかで……ああっ〈なんだっけこれ?〉で見た名前かっ!! 神様の名前だったのねー。
てか信仰? それも一定値を超えたってどういう……まさか〈なんだっけこれ?〉の数値のことか……?
それならそうと表記すれば……いや、イーリスってのが駄女神の名前なんだろうがこの嫌われようだ、おそらく俺同様マイナスな奴らばかりなのだろうな。
神界でも嫌われ、自分の世界でも嫌われる存在であることから目を逸らすために、好き勝手できるこちらの世界のステータスの信仰の表記をぼかしやがったのか……
さすが駄女神、やることがみみっちい上になんの解決にもなってない。
つーか自分の星に降りるのを他所様から禁止されてるってのは過去になんかやらかしてるのか。
あれ? でも俺別に地球の神に祈って……いや、そういや転移直前に祈ったっけ? けどそのときくらいだしなぁ。
あとは駄女神を罵倒くらい……まさか? 違法視聴やら不法投棄にぶちギレて洒落にならないくらい嫌ってる……?
それで俺が駄女神を罵倒する度に地球の神の信仰値が上昇してるとか? というかそうじゃないと信仰が上がるわけないか。
んー、そういうことなら本気で雷落としてそうだし、まぁいいか。
にしてもわざわざ地球の神に出庭ってもらって悪いような……いやむしろ理由ができたとこれ幸いと雷落としてる場合もあるか? そうなら俺も気が楽なんだがな。
「これ……は? 地球の神? ゼムス様が……? それになぜ彼に神託を? いったいどういう……」
あっ、そういや異端審問みたいなのの途中だったわ。
なんかすげぇ動揺してるっぽいけど、俺の疑いって晴れたのかこれ?
あっそうだ。あの駄女神イーリスを信仰してるって誤解してるからこうなってるんだし〈なんだっけこれ?〉を見せれば解決じゃん。
てなワケポチっとな。
なんだっけこれ? 《2222》
【イーリス】 -6017
【ゼムス】 8239
「あっ、なっ!? こっ、この数値は……。どうやら思い違いで大変失礼なことをしてしまったようだ。申し訳ない、イサムくん」
ふぁっ!? 急転直下の手のひら返しっ?! てかもしかしなくてもこの数値異常なの?
「いやあの、疑いが晴れたならそれでいいんで頭を上げてください」
年上に頭下げられるなんて接客業の店員くらいだから、謝罪で下げられるとどうしたらいいかわからんくなるもんだね。
にしてもこれ見せるだけで解決とかえらい時間を無駄にした気分だわ……あっ、そういや元は俺が逃げようとしたり余計なことを言ったせいか。
まぁ、元を質せばあの駄目邪神イーリスがキチンと説明しなかったせいだけど……
もっかい雷落としてくれないかしらん。
──ピロンッ♪
っておい、まさか……
[特別ですよ?]
うーん、特別ってなんだろなー? 僕ちん頭使いすぎてわかんないやー。草食べよーっと。モサモサ……
ていうか声に出さなくても聞かれてるのね……
「それにしても君があれの信奉者じゃなくて良かったよ。その能力でよくあの鉄格子を溶かせたね? 言っちゃあなんだけど、もっと鍛えないとロクな仕事にありつけないよ?」
ふへっ……えっ? やっぱり俺の能力って……低いの?
それに仕事にありつけないって……えっマジすか? ヤベェ草食ってる場合じゃねぇわ。モサモサ……
「あっあのぉ~。どれくらいの能力があれば一般的なんですか……?」
「そうだねぇ。もっと若ければともかく、君くらいなら何れかの値が3000を超えているくらいからその能力を活用する求人募集が増えてくるかな?
もちろんそれを下回る人でも多少は仕事があるけれど、そういう職業って肉体労働が多くてね。イサムくんの場合はちょっと……いや、かなり偏りがありすぎて正直そういうところは身が持たないと思うよ?」
チクショウっ! やっぱりこの低すぎる力と守備が足を引っ張りやがるのかっ!?
いや、そもそも武術や近接戦闘スキルとかを取得できていないことがこの偏りを生み出した原因か。まぁあってもまだ能力不足だろうけど……
とはいえ何をするにもまずは金を稼がないとっ!
「他になにか求人に引っ掛かる条件とかありませんか?」
「う~ん、他……となると学校を卒業していることとかだけど、イサムくんは就学経験ないよね?」
ありますっ! というかこっちに来るまで現役でしたがっ!?
……何て言ってもこっちの世界で通用するワケねぇよなぁ。現に物知らず過ぎてロバートさん断定気味に訊ねてきてるわけで……これは詰んだか?
「あとはスキルなんだけど、これはよっぽど特殊か高レベルのスキルでないと……。もちろんなんでも良い訳じゃないからスキル次第かな?」
高レベルがいかほどか知らんけど特殊なスキルならほぼ半分がそうですっ! でも使い道がねぇんです!!
……待てよ? 俺が勝手に使い道がないと判断しただけで、実際は有用な使い道があったりするものも所持しているのでは……?
「ちなみにですが、鑑定士って求められるスキルかどうか判別できたりします? たぶん俺のスキルって半分くらい特殊なスキルだと思うんですけど、使い道のある業種がわからないのです」
「半分も……? アドバイスができるできないで言えばできるよ。ただどの鑑定士にでも出きることじゃあない、秘密のバイトだから誰にも私から聞いたことを言っちゃ駄目だよ?」
秘密のバイト? てのは鑑定士としてバレちゃいけない……ってことだよな? 勝手に鑑定してスカウトなりヘッドハンティングなり裏営業していたってこと?
能力やスキルはおいそれとバラしちゃいけないとか言ってたのに、それ言っちゃって良いの?
エミリアちゃんも……あ、これ気絶してんね。こんなんで騎士としてやっていけるの?
俺が仕事を代わって……いや、それなら蔓草の如くヒモとして絡み付く方がいいな。僕と同棲して扶養家族で養ってよ!
そんなことより、今なら俺が黙ってるだけでいいのか。
「わかりました、誰にも言いません」
「うん、それじゃ見させてもらうよ?」
よし、了承も得られたしスキル一覧をポチっとな。
・スキル一覧
火魔法Lv.10 水魔法Lv.9
土魔法Lv.8 風魔法Lv.10
光魔法Lv.9 闇魔法Lv.9
時魔法Lv.28 空魔法Lv.28
整腸Lv.102 跳躍Lv.42
草食Lv.100 塞窟Lv.1
蔡主Lv.32 解体Lv.1
盗術Lv.1 魂術Lv.30
鍵術Lv.1 襲術Lv.1
艦艇Lv.1 迷走Lv.179
草 Lv.1
・エクストラスキル一覧
異世界言語
おぉ、結構火魔法上が……ん? あっ草オートリロードで時と空魔法上がったのか。
つーかスキルレベル100超えてんじゃ……なんか生えてる?
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