第7話 初レベルアップ


【イサム・ノウミ】


Lv.8

職業 -


HP 39/120

MP 82/350


力  15

敏捷 215

守備 17

魔力 130

精神 97

なんだっけこれ? 888



 おっ、一気に7も上がっ…た……えっ? なにこのクマくっそ格上だったの?


 ゲームで言えばこれだけ上がるのなんて、上がったレベルの倍以上の相手くらいじゃ……うん、やめやめ。きっと経験値の美味しいクマさんだったんだ。


 ただ俺にはちょーーっと早い相手だったんだ、うん。だから暫くは森には近寄らんとこ。


 てかなんでHP減ってんの? あの時コケたせい? それとも全速力ダッシュかましたから?


 そういやステータスの表記が体力じゃなくて守備なのはスタミナを兼ねる数値じゃないからか? それでスタミナとしてHPが減っている、ということなら気を付けて管理しないとだな。


 幸い今考えている間もHP、MP共に少しずつ回復していってるし、休憩を取りつつ動けば問題ないだろう。

 ただ先ほどから休んでいてこの数値なら、クマを埋めた時点ではかなりマズいHPだったのでは……?


 まっ死ななきゃ安いもんよ! それよりクマクマ~♪


「さーて、どうやって取り出そう……。まぁ誰も見てないし掻く恥も気にする必要もないな、壊れろ!」


 うん、イキって英語で唱えて間違えてやんのコイツ~っ! って笑われるのヤダもん。日本語で往くよ、俺は。


 等とどうでも良いことを考えている間に石壁が崩れ、中の水と砂が足元に雪崩れ込んできた。


「うおっ?! あ~失敗した。なにも触れたところじゃなくて、自分の反対側を壊せば良かったんだ……」


 靴がぐしょ濡れなのは最初に水を浴びた時からだから今さらだが、砂までとなると流石に歩くときに気になるな……

 とはいえ掻き出そうにも水に濡れていて落としきれそうにもないし……


「はぁ……さすがに裸足になるわけにもいかないし、我慢するか」


 ざっくり砂を払い落とし、ぐっしょりシューズの中の砂粒を感じながらクマ回収を進めていく。


「とはいえ、魔法で出した物って消せないみたいだし……風で吹き飛ばせるかな?」


 砂を吹き飛ばし、埋もれたクマがお目見えするイメージで風を吹かせてみたらあっさり出来た。


 魔法がチート過ぎてヤバい、てかこんなもんが当たり前のように存在する世界とか怖いんですけど……


「うん、誰かに恨まれないよう安心、安全、誠実をモットーに生きよう!」


 いやもう、こんなチート魔法なんかがある世界とか死ねば良いのに、だけでポックリポンと逝けそうじゃん? 異世界マジ怖い…………


 そんなこんなを経てクマの死骸を無事救出に成功。


「あとはアイテムボックス?ストレージ?に収納するだけだが……どうやりゃいいんだ?」


 失敗してせっかくの金策マさんが台無しになったら大事だしな、まずは瓦礫となった元石壁の破片を持って……と。


「収納!」


 石片が消え、秒針の止まった時計が掛けられた箱に収めるイメージで唱えてみるとこれも成功した。やっぱ怖い、仕舞っちゃうおじさんとかいないよね……?


「よし、まずは成功……だけど実際に時間が停まっているかは追々確認する必要があるな。あとは……石片っ!」


 一歩分ほど離れた地面に出るイメージで石片を呼び出すとちゃんと出てくれた。


「うん、出し入れは出来るな。あとは出し入れ可能な距離と高さも確認しておくか、クマデカいし」


 検証した結果、手が届く範囲まで近づかないと収納されないみたいだが直接触れなくてもいいようだ。


 また取りだしはおおよそ2メートルの高さと距離で取り出せることがわかった。


 ただスキルのレベルが上がると出し入れの距離が変わる可能性があるが、現状誤差の範囲だろうしその内再検証で良いだろう。


 とにかくクマを収納しておいて、取り出したら下敷きになるなんて間抜けを晒さずに済みそうだ。


 というかその時は腕一本で俺死んでそうなくらい重そうなクマなんだよなぁ、なんせ四肢それぞれ俺の胴体くらいあるし。


「クマ収納!」


 そういや収納可能サイズの確認忘れてたな。まっ収納出来たしそれも後々!


「よっしゃ、クマに時間取られたからさっさと行くか」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る