一四五話
【夢踏み】スキルを使い、反田の夢の中を滅茶苦茶に荒らし回るという俺の計画はいとも容易く成功した。
とはいえ、ここで一休みしてるような暇はない。ここから本当の復讐が始まるんだからな。
一足先に気持ち悪い夢から脱出した俺は、【隠蔽】状態でやつが起きるのを今か今かと待ち受けていた。
「――う、うぅ……はぁ、はぁ……」
お、ようやく起きたな。
「……な、なんだったのか、あの夢は……。折角いいところだったというのに、急に悪夢に変わるとは……。まったくもってけしからんよ……」
反田の顔は紅潮していて髪も乱れていたが、やがて落ち着きを取り戻し始めたのか、手鏡を取り出して顔面チェックを始めた。
これから俺に処刑されて人間じゃなくなるんだし、わざわざそんなことしなくてもいいのに。
やつのキリッとした顔なんて見たくないので、俺はさっさと例のものに気付いてくれと祈った。
「――ん……?」
よし、願いが通じたのか反田がようやく気付いて手に取った。実は、机の上にはラブレターを置いていたんだ。もちろん差出人は俺なわけだが、それは絶対にわからないようにしてあるので問題ない。
ちなみに、手紙には可愛い感じの丸い文字でこう書いた。
『いきなりですが、反田先生に告白します。大好きです♥ ずっと言いたかったのですが、ようやく言えました。私、胸以外は地味で引っ込み思案な眼鏡っ子ですけど、学校がこんな状況だからこそ、先生の立派な姿を見て勇気を持てたのかもしれませんね。こんな私でよければ貰ってください。旧校舎の屋上で待ってます♪』
「グッ……グフッ、グフフッ……」
不気味な笑い声とともに、机の上に反田の鼻血がポタポタと落ちる。これは効果覿面だったみたいだな。まあやつのストライクゾーンど真ん中だからしょうがないか。
「お……抑えたまえ、今は堪えるんだ、私の息子よ……」
「…………」
こいつ、自分自身の盛り上がる股間に向かって諭しやがった。
色んな意味で危ない野郎だな。咄嗟に『サイレント』を使わなかったら笑い声を漏らすところだった。何を言い出すかと思ったら、真面目な顔してこんなこと言うんだもんなあ。
それにしても、俺の書いた文字を読んだだけで勃起するとは、相当溜まってたみたいだな。
ってことは反田の恋人になった浅井のやつ、ビッチの癖にヤらせずにもったいぶってるんだろうか。今までヤりまくった相手が失踪してるから縁起を担いでる可能性もあるが。
とにかく、反田を旧校舎の屋上まで来るようにと誘い出したし、やつは早速中腰で向かってるしで、もうすぐ極上の主菜を味わえることは確かだ。
俺は『ワープ』で旧校舎の屋上へ先回りし、やつがノコノコとやってくるのを待つことに。
もちろん、ここで遊んでいた生徒たちは『テラー』+『ラージスモール』で酷く怖がらせて避難させた上、俺は既に『オールチェンジ』で反田好みの胸が大きい眼鏡っ子に化けているので問題ない。
さあ、早く来い、クズ教師の反田。お前の脳天がフリーズするような快楽――いや、無間地獄をお見舞いしてやるよ……。
「――フゥ、フウゥッ……」
おお、荒い息遣いとともにやつの姿を確認できた。予想よりここまで来るのが早かったな。それだけ興奮して急いできたってことか。ご苦労さんだな。
俺の姿を見た途端、反田は今まで見たことのないような目つきになった。鋭い視線が突き刺さるとはまさにこういうことを言うんだろう。これはもう、完全にターゲッティングされているな。オエッ……。
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