一四四話


「…………」


 さあ、いよいよ五回目の復讐の時間、すなわちショータイムの始まりだ。


 今回、その宴で生贄となる反田憲明が現在どこにいるか、俺は既に察しがついていた。


 とはいえ、推測が間違っている可能性も若干あると思ったので、一応『ガイド』の魔法を使って確実に獲物を仕留めにいく。


 それからほどなくして、俺は目当てのクズ教師が棲んでいる場所の前まで辿り着いた。


 そこはやはり、やつの巣――校舎一階の職員室――であり、【隠蔽】状態のまま中に入って周囲を見渡すと、窓際の机に突っ伏した反田の姿を発見した。


「ぐがー……」


 悪いやつほどよく眠るなんていうが、憎たらしいくらい気持ちよさそうに昼寝してやがるな。一体どれだけ素晴らしい夢を見てるんだか……。


 だが、それなら当初から計画していた『ドリーム』で眠らせる手間が省けるし却って好都合ってことで、俺は【夢踏み】スキルを試してみることに。


 っと、その前に【慧眼】でステータスチェックだ。


__________________________


 名前 反田 憲明


 HP 3016/3016

 MP   17/17


 攻撃力 61

 防御力 27

 命中力 20

 魔法力 17


 所持スキル

【HP+3000】


 所持装備

 レイピア

 レザーベスト


 称号

《クズ教師》《喪主》《説教おじさん》《覗き魔》《メガネフェチ》《おっぱい星人》《チキンキラー》《ワンマン教師》

__________________________



 なるほど、まあこんなもんか。


【HP+3000】はレベルのあるスキルじゃないし、ステータスは以前見たときとあんまり変わってなかったが、称号は沢山ついていた。当然のように酷いものばかりだ。


 さて……どんな内容の夢を見てるのか、覗き見させてもらおうか。その際、水の中に顔を入れるような感覚があった。


『キヒヒッ! 眼鏡っ子諸君っ! 私のことがそんなに好きなのかね!? ほらほら、我慢せずに早く言わないかっ!』


『『『『『ああんっ、せんせえっ、大好きっ』』』』』


『ウホオオオォッ! いいぞぉっ! もっと……もっとだ、もっと言いたまえよおおおぉっ!』


『…………』


 そこは教室内なわけだが、教壇で鼻の下を伸ばした反田に対し、女生徒たちによる黄色い歓声がこれでもかと浴びせられていた。


 しかも、少女たちは全員似たような顔で眼鏡をかけており、揃って胸がでかいし露出の大きい服を着てるしで、まさに反田ワールド全開といったところだった。


 あと、俺はどうしても見たくない箇所があったので『モザイク』という魔法を作り、クズ教師の股間に使用した。本当は全身にかけたいほど目障りなんだが、今はなるべくヘイトを溜めたいので我慢だ。


 それから『オールチェンジ』を使い、眼鏡&巨乳の子に化けてやつの夢の中へ潜り込むことに。あいつの好みの女の子になるなんて吐き気を催すくらい気持ち悪いが、これも全て処刑のためなので仕方ない。


 よし……これだけ同じような顔の子がいるせいか、今のところ反田が俺の存在を不審に思った様子はないようだ。まあピンク色に染まりきった夢の中だしそこまで警戒はしないか。


『はぁ、はぁ……イキそうだ……。お、お前たちいっ! 私のことをそんなに愛しているというのならば、次にやることは、わかってるだろうなあっ!?』


 ハーレム要員がさらに増えたことで酷く興奮しているのか、反田の息が異様に荒くなっているのがわかる。


『モザイク』と相俟って、その姿があまりにもおぞましいのでとっとと終わらせてやろう。


『『『『『はぁーいっ、せんせぇっ!』』』』』


『ぬぁっ!?』


 反田が仰天した顔をするのも当然だろう。俺を含む全員、『ヴォイスチェンジ』によってやつが最も恐れていた虎野の声にしたんだからな。


 さらに、『ボディチェンジ』で全員虎野そのものにして反田のハーレム願望をかなえてやることに。うわ、これは虎野が女装しただけみたいだから。際どい格好も相俟って無茶苦茶グロい。


『ひっ……!? く、来るなああぁぁっ!』


『『『『『反田せんせぇ、だーいすき。ちゅっ』』』』』


『や、や……やめろおおおおおおおおぉぉっ!』


 女装した虎野の群れに揉まれた反田が泡を吹いて気絶した。さて、前菜を味わったのでお次は主菜をたっぷりと堪能させてもらうとしようか。

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