一三三話


「――こ、これは……」


 箱の中には、【伝導師】レベル1というスキル名が書かれた札が入っていた。


 さすが、人口の多いエルの都なだけあって、スキルを選ぶ余裕があっても捨ててしまう風変わりな者もいるか。


 学校の連中のように、より良いものをとキャンセルされたか、使ってみたものの気に入らなくて削除されたかはわからないが、欲しいと思っていたジョブ系スキルってことでありがたくいただいておくことに。


 札を手に取ると、スキルを獲得しましたと脳内に表示された。そういうわけで自分のステータスを覗いてみよう。


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 名前 如月 優斗


 HP 23015/23015

 MP  7018/7018


 攻撃力 4057

 防御力 2115

 命中力 1005

 魔法力 7018


 所持スキル

【ダストボックス】レベル7【魔法作成】レベル8【伝道師】レベル1【超魔力】【慧眼】【隠蔽】【命中力上昇・大】【防御力上昇・大】【攻撃力上昇・大】【HP+23000】【MP+5000】


 所持魔法

『エリクシルヒール』『ディスペル』『クリエイト』『ラージスモール』『フローズン』『ワープ』『サイレント』『スリープ』『クール』『ドライ』『ヘルファイヤ』『ディバインサンダー』『エターナルスノーデス』『アースデーモン』『フライ』『サーチ』『ガイド』『アバター』『ストップ』『コントロール』『コンフェッション』『クリア』『プロボーク』『バニッシュ』『ライティング』『アナライズ』『ニューエクスプロージョン』『テレパシー』『セイフティバリアー』『レジスト』『インヴィジブルウォール』『オールチェンジ』『ミスチーフ』『サモン』『ステッチ』『アンサー』『ナイトビジョン』『ウィーディング』『セージ』『ポイズンエアー』『クレアボヤンス』


 所持テクニック

『指導』


 所持装備

 絶影剣 精錬値10

 インヴィジブルジャケット 精錬値10


 称号

《スキルコレクター》《マジックコレクター》《ドラゴンスレイヤー》《仮面の英雄》《食料の解放者》《ダークヒーロー》《S級冒険者》《仕置き人》《商人殺し》《最強の傭兵》《ゴーストキラー》

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 以前見たときと違うのは、【ダストボックス】のスキルレベルが上がったことと、新たなスキルや称号を入手したことくらいか。


 このマイホームに関しては、もう最高級マンションの部屋並みの広さになっている。一面の窓とかはないが。


 もう一方、【伝道師】というジョブ系のスキルを手にしたことで、『指導』というテクニックを得ていた。


 これは、一時的にではあるが味方を強化できるというものらしい。それも、『指導』を使用した者のステータスが強ければ強いほど、強化の度合いも増すんだとか。スキルレベルにも大きく左右されるそうだが、これは期待できるな。


 そうだな……ファグたちで試そうかとも思ったが、すやすや寝てしまってるし、下手すりゃ起きかねない。また眠らせるにしても不自然だし俺が何かしたと思われそうだ。


 待てよ? そうだ、それならうってつけの相手がいるじゃないかってことで、俺は自分の『アバター』に『指導』を使ってみた。早速ステータスの確認だ。


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 名前 如月 優斗(アバター)


 HP 2100/2100

 MP  100/100


 攻撃力 100

 防御力 100

 命中力 100

 魔法力 100

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「おおぉっ……」


 元の分身がどれだけ弱いかよく知ってるだけに思わず声が出る。おそらく、HPの2000の部分は《最強の傭兵》の称号の効果で、あとは『指導』の効果によるものだろう。まだスキルレベル1なのに100も上がるんだから相当なもんだ。


 もう一度使っても何も起きなかったが、この調子で使い続けてレベルを上げていけば、今後覚えるテクニック次第では大きく化けそうだな……。

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