二一話


「「「アハハッ!」」」


 麓を目指す馬車の中、俺たちは雑談で盛り上がっていたが、馬車に揺られうちに気分が悪くなってきたので、『キュアー』という状態異常回復の魔法を作って酔いを醒ました。


 ふう……。そうだ、俺はふと思い立って、【慧眼】スキルでホルンとプリンのステータスを覗くことに。

__________________________


 名前 ホルン

 年齢 18

 性別 女


 HP 4500/4500

 MP  600/600


 攻撃力 741

 防御力 499

 命中力 587

 魔法力 600


 所持スキル

【剣聖】レベル27


 所持テクニック

『プレッシャー』『パリイング』『エネルギーブレード』『ナチュラルカウンター』『スラッシュウィンド』『ソードシャワー』


 所持装備

 ブラッディブレード

 ホーリーアーマー


 称号

《伯爵》《ソードクイーン》

__________________________


「…………」


 ホルンってやつ、凄いな。【剣聖】スキル所有者でしかもレベル27って……。まあ王女の護衛だし、これくらい強くないと務まらないんだろうな。さて、次はプリン姫だ。

__________________________


 名前 プリン

 年齢 16

 性別 女


 HP 3200/3200

 MP 4800/4800


 攻撃力  230

 防御力  250

 命中力  470

 魔法力 4800


 所持スキル

【賢者】レベル30


 所持魔法

『デッドウォーター』『ホーリーフレイム』『ソーンウォール』『シャイニングトルネード』『エネルギーチェンジ』『マインドブレイカー』『セーフティプレイス』


 所持装備

 エンシェントアークワンド

 ミネルヴァドレス


 称号

《プリンセス》《フラワーコレクター》《死神姫》

__________________________


 プリンもこれまた凄い。【賢者】スキルを持っていて、その上レベル30って……人は見かけによらないもんだ。


 この二人って、もしかして滅茶苦茶強いんじゃ? っていうか、彼女たちが倒せずにいたあの災害級のモンスターを俺はやっつけたってことだよな……。


「ユートどのは一体、どうやってあんな恐ろしいモンスターを倒せたのでありますか?」


「教えなくてもいいけど、教えてほしいの。ぷいっ」


 俺はホルンとプリンに真剣な顔で詰め寄られる。ステータスを見たばかりなので怖い。


「そう言われてもなあ……とにかく、独創性のある魔法を可能な限り叩き込んだ感じかな。やっぱり、そこは変化っていうかオリジナリティってやつがないとダメだと俺は思うんだよ。魔法も人生もな」


「「なるほど……」」


 二人とも熱心に耳を傾けている様子。


 まあ自分は魔法ならなんでも作れるわけで、人生においてもちょっと前までは毎日葬式ごっこをされてたからな。決して嘘はついてない。


「ホルンもプリンも頑張りなさい」


「は、はいであります! ユートどの!」


「うん、ユート。一生懸命やるけど、プリンは頑張らないの。ふんっ」


「ははっ……」


 プリンがまた自己矛盾してて微笑ましい。


 まもなく俺たちを乗せた馬車は麓へ到着し、そのまま別れることになった。


「――んじゃ、ここで」


「ユ、ユートどの。せめて、近くの村までは一緒に行けないだろうか?」


「う、うん、一緒に来たいなら来てもいいよ、ユート」


「いや、そろそろ帰らなきゃいけないから……」


「そ、それなら仕方ありませんな。ユートどの……この御恩はそれがし、決して忘れませぬ……!」


「……わ、忘れるもん。プリンは、ユートのことなんかすぐ忘れてやるんだから……ぷいっ……ぐすっ……」


「…………」


 ホルンもプリンも目が真っ赤なので、見ていて辛かった。実際俺も同じかもしれない。さて、これ以上情が移る前にそろそろ帰るか……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る