三話
「「「「「おい、スキルを見せろ!」」」」」
俺は不良グループに詰められ、異次元通販で獲得した【ダストボックス】スキルを仕方なく披露することに。
「ふむ、こいつのスキル、【ダストボックス】とは、どういう意味だ……?」
ボスの虎野が首をかしげてる。この男、ガタイは抜群だがあんまり頭がいいほうじゃないからな。ただ、こんなことを面と向かって言ったら命はない。実際、何人か殺してるし。
「ボスゥ、おいらも、さっぱりわけわかんねえ。ちんぷんかんぷんだあ」
近藤がいつものように酒でも飲んだのか赤い顔で言う。
「俺も、英語とかさっぱりわかんね……。おいコラ、どういう意味なんだよ、クソ優斗……」
「ほら、ぼけっとしてないで、知ってるならさっさと言いなさいよ、間抜けな如月君」
「そ、それは……」
言っても言わなくてもボコるくせに。影山と浅井に凄まれる中、永川がひらめいたような顔になった。
「あ、僕わかりましたよ。ひひっ。このアイコンを見れば一目瞭然。ゴミ箱って意味です」
「「「「「ブハッ!」」」」」
爆笑の渦が巻き起こり、俺の顔に連中の唾が降り注ぐ。ピッタリだの最弱のネタスキルだの言われた挙句、ダンクシュートと叫ばれて本物のゴミ箱を頭に被せられ、やはり殴る蹴るの暴行を受ける羽目になった。
こいつら、異世界に来たのにいじめなんかやってる場合なのか。それに慣れてしまってる俺もおかしいが……。
やつらからようやく解放された俺は、トイレに行くために廊下をフラフラと歩いていた。もうこうなったら授業なんてあるわけがないとはいえ、逃げたらもっと酷い目に遭わされるのはわかりきってるし、しばらくしたら戻るしかないだろう。
目的地へ到着すると、俺は鏡に映った自分のボロボロの姿に呆れる。まるでゾンビみたいだ。
そういえば、学校の中にいるからわかり辛いけど、ここって異世界なんだよな。試しにスマホで親に連絡しようと思ったがダメだった。ん、ステータスってあるぞ。
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名前 如月 優斗
HP 6/15
MP 10/18
攻撃力 7
防御力 15
命中力 5
魔法力 18
所持スキル
【ダストボックス】レベル1
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おお、それに触れたら自分のステータス画面が出た。レベルがないと思ったら、獲得したスキルのほうについてるんだな。【戦士】とか【魔術師】とかジョブ系のものもあったし、スキルを鍛えることでステータスも上がっていく仕組みなのかもしれない。
それにしても、【ダストボックス】って一体なんの効果なんだろう。
そうだ、説明を見てなかったってことでスマホの画面を見ると、『界隈と繋がった異次元のゴミ箱(スペア)を手に入れることができ、レベル1なら中に入って確認する人も含めて10個まで収納可能で、その中にあるものならなんでも自分のものになる』とあった。
異次元のゴミ箱で、界隈と繋がってるってことは、学校の生徒たちが異次元通販で獲得したものをゴミ箱(メイン)アイコンへドラッグしたら俺のものにできるってわけか。もしかして、これって滅茶苦茶当たりスキルなんじゃ……?
どんなものが捨てられたかを確認するには中に入らなきゃいけないってことで、俺は早速使用してみることに。捨てるものを【ダストボックス】の文字にドラッグするイメージを持つといいらしい。
「――――ッ!?」
そこは、殺風景な狭い倉庫のような場所だった。これが【ダストボックス】の中なのか。そこには箱が9個置かれているのがわかる。よーし、全部開けてみるか。
【魔法作成】レベル1【超魔力】【慧眼】【隠蔽】【命中力上昇・大】【防御力上昇・大】【攻撃力上昇・大】【HP+23000】【MP+5000】
9個ともスキルの名称が書かれた札が入っていて、手に取ると脳内にスキルを獲得したと表示された。どれも凄く強そうだし、捨てられるようなスキルには到底見えない。
確か、一つしか選べないみたいなことを言われてたし、もっと良さそうなスキルがあったとか、あるいは自分の欲しいものじゃなかったとかで変更して、所持していたスキルが自動的に捨てられた格好なんじゃないかな。
ってことは、これが全部自分のものになるんだろうか?【ダストボックス】の中にあるわけだし、このスキルの一部として使える可能性は充分にあるな。もしそうなら、俺のほうに一気に風が吹いてきたといっても過言じゃないぞ……。
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