第五章 太陽⑤

照子は頭の中が真っ白になった。

「で、、、調べてみてびっくりしたんだけど、その天手力雄神が天照大御神がお隠れになっていた岩戸を投げ飛ばしてできたのが、戸隠山ていう言い伝えがある。そして奥社は天手力雄神を祀ってるんだ。」

照子は口を半開きにして動かない。

「僕たちはもう、ずっと前に爺ちゃんの登ってほしかった山に登ってたんだよ。」

僕はなるべく優しく続けた。

「照子が登山に拘ってた理由はわからなかったけど、もしかして、戸隠山に鍵があるんじゃないかって思った。ごめんな、お見舞いにこれなくて。でも早くお前にこのことを伝えたくて、いろいろ調べまわったんだぞ。」

「何度も奥社や頂上まで行ったんだけど、よくわからなかった。でもある日、奥社の巫女さんが俺に話しかけてきたんだ。「もしかして、善光さんのお孫さん?」て。その巫女さんは爺ちゃんから僕か照子が奥社にきたら渡してほしいって言われて預かったものがあるんだって声をかけてくれた。それがこれ。」

僕は木曽漆器の箱を照子に渡した。

照子は言葉も出ない様子だったが、ゆっくり箱を開けた。

そこには、大量の手紙がぎっしりと入っていた。

宛名はすべて、「私の太陽へ」だった。

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