第一章 照子⑦

とうなだれた。

「あー、それじゃあさ、夏休みの間だけでも、照子に勉強教えてもらったら?」

ちょっと白々しかったか?慣れない芝居で緊張していた僕はおそるおそる二人をみた。

「いいな!それ!」

「いいわね!それ!」

杞憂だった。確かにあまり人を疑うような二人じゃないのかもしれない。

「ただよぉ。雄いつから榎並さんを下の名前で呼んでるんだよ!」

翔馬が珍しくジットリと僕をみる。

僕と照子は顔を見合わせた。

「私が頼んだの。あんまり苗字で呼び合うの、好きじゃなくて。照子ってよんで。私も翔馬って呼んでいい?」

照子が翔馬に笑顔を向ける。

翔馬は首がもげるのではないかという勢いで縦に振りながら、

「全然オッケー!それでいこう!」

とガッツポーズをした。

「それでその代わりというわけでもないんだけど、、、私からも一つお願いがあるんだけど。」

照子がよどみのない目を僕らに向ける。

僕らはきょとんとして顔を見合わせた。

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