花火大会当日part3

暫くの静寂の後———


ヒュ〜〜〜〜〜バーン!!


とんでもなくでかい音が響き渡り、花火大会の醍醐味がスタートした。


「びっっっっくりした〜!」

「きれ〜!!」

「ですねえ…!」

「でかっ!?」

「焼きそばを食べながら見る花火は最高だ!!」

「花より団子すぎなお前」


俺たちのように、周囲の観客たちもワイワイと騒いでいる。

いつもは会場まで来てみなかったけど、改めて近くで見るとめっちゃ綺麗だな………。

ってか櫻川撮るのに夢中で一言も発してないんだけど。

……あとでデータ貰おうかな。


「ほら櫻川!撮るのも良いけど、折角生でこんな盛大な花火見れるんだし一緒に見ようぜ!」

「うん!」

「いや〜いいね〜!俺たち今青春してるって感じがするわ!!」

「なんか前にも聞いたなそれ」

「じゃあ俺たちは毎日青春してるってことか。それ最高じゃね?」

「確かに!うーん唐揚げ美味しい!!」

「なぎちゃんめっちゃ食べるじゃん…」

「だって美味しいんだもん!!」


(((((守りたい、この笑顔…!!)))))


そんなこんなで花火も中盤に差しかかし、アナウンスで言っていたように、国民的なキャラクターの花火だったり、色とりどりの花火が上がったりと、会場が興奮の渦に巻き込まれていた。


「あれ、ドラ〇もんだよね!」

「いやス〇ーピーでしょ」

「何言ってんのクレヨ〇し〇ちゃ〇だろ」


なんでそんなバラバラになるんだよ。

あれはどう見てもカ〇ビィだろ。




———かなりの花火が打ち上がったところで少し間が空く。


『みなさん!!いよいよフィナーレのお時間となりました!!!この花火大会の最後を飾る花火は、20000発以上の大迫力な花火たちです!!!!!』


というアナウンスが流れた直後、一斉に見たことのない数の花火が打ち上がる。


「何回見てもすげえ!!!」

「言ってた通り迫力やばっ!」

「団子もうまい!!」

「だからなぎちゃん今は花火を…」

「こんなすごい花火、動画撮るより見た方が断然良いよね!!」

「だろ?」

「一生続いて欲しいわこの時間」

「分かる」


この盛大なクライマックスで会場にいる観客たちのテンションも最高潮。

中にはぽかんと口を開けたまま見ている人まで。

最後の最後には、超特大の花火が打ち上がり、



バ〜〜〜〜〜〜ン!!!



という豪快な音と共に花火大会は幕を下ろした。


「めっっっっっちゃ楽しかったな!!」

「ね!!」

「来年もこのメンツで来ようぜ!」

「もちろん!」

「オッケー!!」

「ですね!」

「やった〜!」

「うん、動画もちゃんと撮れてる!」

「あ、それ俺たちにも送ってくれね?」

「いいよー!」

「うわ〜帰りたくねえ……」

「分かる…」

「でも時間的にも帰らなきゃいけなそうだからねえ」

「私も少し帰りたくない気持ちがありますけど……ここはきっちり校則を守らないと、ですね」

「そーだな〜。じゃ、また今度な〜!!!」



と、各自解散となり、途中まで帰り道が一緒な綾瀬さんと俺は二人で帰路に就く。

このまま、別れて各家に向かう筈、だったのだが———


「ちょっと待って!」

「はぇ?」


何故か俺を止める綾瀬さん。

ラブコメならこの場面で告白だろうが、現実はそんなうまくいかない。

………でもなんで止めたんだろ。


「えっと…その……」


え?マジ?まさかの展開??


「明日、もう一回花火に行かない!?」

「え?」

「あ……そうだよね……やっぱ無理だよね…………」

「いやいやそうじゃなくて、それはどう言う意味で?」

「へ?いや、もう一回二人で花火大会行かないって聞いたんだけど……」


ん?んん??二人で、とな???

…………なんで俺?


「あ、そういうことなら全然良いんだけど…俺?」

「当たり前じゃん!だから今こうして引き留めてまで誘ってるんじゃん!!」

「そ、そっかそっか…。じゃあ、また明日?」

「うん!!また明日!!!」



…………どういう展開??

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