花火大会当日part2

いよいよ待ち合わせ時間の17:00の30分前となったので持ち物を確認して、家から出るつもりだったのだが……


「しょうちゃん!身だしなみは大丈夫!?ほら前髪とか襟とか———」

「大丈夫だって(自信ないけど)。そろそろ待ち合わせ時間だから行くよ?」

「ちょっと待ってこれだけ持って行きなさい!」

「え、これ」


母から10000円札を手渡しされた。


「え、いいよこんなに」

「良いから良いから!持ってきなさい!!せっかく友達と行くんだからお金のせいで楽しめなかったら困るでしょ!?」

「わかったわかった!じゃあ一応持っておくね。余ったら返すけど」


強引に渡されたので仕方なく受け取っておく。

ちなみに、誰と行くかは既に言ってある為、とんでもないくらい張り切っている。

と、なんやかんやあってあと20分になってしまった為駆け足で向かう。

母から服装については何も言われなかったから大丈夫だと思うけど、結局みんな何着てくるんだろ。




あっぶねえ。現在時刻16:55。ギリ間に合った……。

いや人多すぎて全然わから———いや分かるな。圧倒的陽キャオーラを放ってる集団あったわ。多分あれだな。


「あ、みなっち〜」

「最後は翔太だったか」

「おーい!!」

「あ、湊さんこんばんは」

「おー湊こっちこっち〜」


どうやら俺が最後だったらしい。


「待たせた?」

「何だそのデートの待ち合わせの決まり文句みたいな」

「全然待ってないよ〜」

「なぎちゃんも典型的な返ししてるじゃん」

「あっ」

「僕たち5分くらい前に集まったばっかりだから大丈夫」

「なら良かった」

「じゃあ早速いこ〜ぜ〜」


ここから会場まではおよそ10分歩けば着く。

そういえば、みんな私服なんだ。誰かしら浴衣の人いるかと思ったけど。

会場に着いた、瞬間…


「何食べる〜?」

「なぎちゃん、気が早いよ」

「綾瀬さん相変わらず食欲旺盛だね」

「だな。俺たちも負けてらんねえ!」

「なんでそこで張り合うの!?」

「あはは」


そんないつもと変わらず空気で屋台をまわっていく。

本来の目的は花火を見ることなので、花火がよく見える席を先に確保しておいたほうがいいかもしれない。


「あ、僕先に席取っておこうか」

「え、いいの?」

「そうだそうだ。俺レジャーシート持ってきたからそれ敷いておいてくれない?」

「オッケー!じゃあ僕行ってくるね!!」

「あ、私も行きますよ」

「そう?助かる!じゃあ先二人で席取ってるね〜」


そうして櫻川と茨実さんの二人で席を取りに行った。


「あの二人ってめっちゃお似合いな雰囲気あるよな。波長が合ってると言うか」

「何となく分かる」

「な」

「ね!私もそれ思ってた!」

「でも櫻川って女子に恋愛感情抱かないって言ってたからなあ」

「そうなの?」

「なんか色々合ったんだとよ」

「『色々』ねえ…」

「あの容姿だと絶対モテるのにな〜」

「現にモテてるしね」


他愛もない話をしつつ、みんなの分の食べ物やら飲み物やらを買い、二人が取ってくれた特等席に座る。

芝生の上に座るとチクチクして痛いけど、レジャーシートがあるお陰で大分快適だ。

祐也神ほんとありがとう(切実)。


「今何時〜?」

「大体18:30」

「お、もう30分前なんだ」

「トイレとか先いっておいた方がいいかもね」

「撮影準備もしよっと!」


各々花火が上がる直前に準備を整えつつ、いよいよ10分前。

こんな近くで花火を見るの初めてだから、内心めっちゃワクワクしてる。

と、そこでアナウンスが会場に響き渡る。


『もうすぐ花火が上がる時間となりました!この花火大会ではなんと!!フィナーレ30分で20000発の花火が打ち上げられます!!!その他にも虹色に光り輝く花火や有名なキャラクターが花火として上がります!どうぞお楽しみくださいませ!』


「楽しみですね!」

「20000発って冷静に考えて凄すぎだろ」

「早く始まらないかな〜!」

「ね〜!」

「カメラの準備もできた!!」


会場にいる全員が、固唾を飲んで花火が打ち上がる瞬間を今か今かと待ち侘びている。


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