第1話

、状況をご説明いただきたいのですが…」

「説明が必要かしら?」

「いえ、結構です」

 目覚めたら右手に金属製のグローブはめられて、肘極められてたでござる。




この世界には魔法がある。おとぎ話などの創作ではなく実在するのだ。

初めて使った時にはえらく興奮したが、数か月たてばその興奮も収まった。使っていくうちにこれはであると気づいたのだ。


「早く着替えて顔を洗って食堂へいらっしゃい」

母の関節技から解放された私は右手を見た。グローブには宝石が嵌められ、淡く黄色い光を放っていた。このグローブは、まだ魔法をコントロールしきれない子供用に市販されているものである(原理はよくわからないが)。どうやら、私が寝ぼけて魔力を高めていたことに気付いた母が対処してくれたようだ。

私はグローブを外してベッド脇のサイドボードに置き、部屋着から普段着に着替え、食堂に向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

雷神の申し子 せた @seta8251

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る