呪術大全 P176
◯忌み子ついて
『忌み子』と呼ばれる子供たちがいる。
彼らは生まれつき体に呪いを持っており、慢性的な強い痛みに苦しめられる。
そのせいで幼い内に命を落としてしまう者がほとんどであり、成人まで生き延びたという記録は残っていない。
忌み子が生まれる周期は不規則であり、誰がなんのために罪もない赤子を呪ってるのかは判明していない。
呪い研究の第一人者である私は『忌み子』についてももちろん調べた。しかし忌み子に関する情報はとても少なく、残っている物もほとんどがお伽噺のようなもので嘘か本当か分からないような情報だった。
しかし根気よく調べる内に、ひとつの事実が判明した。
それは存在を確認出来た忌み子たちのほとんどが、高貴な血筋を持っているということ。
私は世界各国の王家の出産記録を細かく調べた。すると不自然なほどに流産の記録が多いことに気がついた。
これは王家が忌み子が生まれたことを隠しているからだと私は仮定した。忌み子は凶兆、生まれたと民に知られては不安を煽ってしまう。
私は手がかりを求め、数年前に滅んだ王国の城を見に行った。すると地下に奇妙な部屋があるのを発見した。
罪人が使っていたにしてはちゃんとしたその部屋は、忌み子用に作られたのではないか?
点と点に繋がりが見えてくる。
王家と呪い。いったい何がこの二つを結ぶ線になるのだろうか。
王家を狙い、呪う者がいるのかと考えたが、多分違う。もしそうであるならば直接王を狙う。もしくは赤子全てを狙うべきだ。なぜ赤子を……しかも期間を空けて狙う必要がある?
思考の海に深く深く潜り込んだ私は……その末に『呪いと祝福は表裏一体』という古い言葉を思い出した。
考えが逆だとしたらどうだろうか。忌み子は呪われてるのではなく、祝福されてるのだとしたら。
恨まれてるのではなく……愛されてるのだとしたら。
『王家の⬛️⬛️は⬛️⬛️』という言葉もある。
ゆえに彼らは、愛されてるのか?
そう思い至った時、私の頭は
そうか、そういう事だったのか! だとしたらそれは何と歪で、非効率で、馬鹿げた愛なのだろうか!!
きっと馬鹿な学者連中にこのことを話しても信じはしないだろう。
ああ……幸せ者だな、私と、この本を手に取ってる君は。彼の真意を知ることが出来たのだから。
そうだな、ちゃんと明記しておかなければならない。彼のことを、そして呪いのことを。この事実は私一人の頭に収めとくには少々大きすぎる。
勘のいい人なら気づいているだろうが、呪いとは⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️
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