??章 ****駅_最後の終着駅

2_4(レコード:04利籐) 

 「何かがおかしい...何か嫌な予感がする。風が...」


 天使は森に吹く風がいつもより荒々しいことに違和感を感じていた。森が風に吹かれて騒いでいるようだった。嫌な予感が耐えない天使は小悪魔たちを見かけ声を掛けた。


 「天使さん!お願いがあります。二匹が居なくなったんです」

 「二匹が!」

 「はい。おかしいんです。森中探したのにどこにといないんです!」

 「え!どこにもいないの?」

 「はい。聖なる泉にも聞いたんですがどこにいるのか分からないって言われて...もうどうしたらいいか...」

 「彼とは連絡を取った?」

 「親分ですか?」

 「うん。もしかしたら彼の所にいるのかもしれない」

 「そうだといいんですけど...」

 「なら一緒に探すよ。嫌な予感もするし...それに彼が心配だ」

 「心配?親分に何かあったんですか?」

 「実は...」


天使は悪魔について小悪魔たちに話した。小悪魔たちは驚き取り乱した。


 「分かってる。彼の安否も知りたいし、二匹が無事かどうかも分からない」

 「早くしないと親分が!」

 「とにかく、急ごう」

 「はい!」


天使は小悪魔たちと共に二匹と探し悪魔の安否を確認するため走り出した。


 「親分!」

 「無事でいてくれよ!」


天使たちが悪魔の元へと急いだ。悪魔が死ぬまで後...5時間


 天使たちが悪魔のもとへ駆けつけようとした同時刻、悪魔は森の中を歩いていた。


 「森が騒がしい...一体どうしたんだ」

 「...ここにいたんですね」

 「その声は...利籐」

 「あなたを探すのに苦労しました」

 「俺を?」

 「そう、あなたをね。森が騒いでるみたいです」

 「分かるのか?」

 「もちろんです」

 「風が冷たい...なあ利籐...さっき小悪魔たちの声が聞こえて二匹が居なくなったみたいで何か知らないか?」

 「二匹?ああ...知っています」

 「本当か!」

 「はい。この本に書いていますから」

 「この本に?変なことを言うんだな」

 「なら見て見ますか?」

 「いいのか?見たらダメなんじゃないのか?」


以前悪魔は利籐に持っていた本のことが気になり見せてほしいと言ったが断わられた。大事なもので時が来るまでは見せられない秘密の本と言われたのだ。悪魔はよくわからなかったが大切な物なのは理解できたのでそれ以上は聞かなかった。


 「別にいいですよ。今なら見ても」

 「なら見させてもらうな...」


悪魔は利籐から本を受け取ると中を開き見ると今までの出来事が書かれていた。


 「な、なんだこれ?」

 「それは記録。あなたたちの行動すべてが載っている本です。そこには二匹のことも書かれているはずですよ」

 「そうなのか!」

 「はい。見たら分かります。そこには書かれているはずですから。」

 「どれどれ...二匹は...え...死んだ...」

 「......」


悪魔は二匹が死亡と書かれた文字に驚き利籐に問い詰めた。その時、悪魔は本を落とした。次第に森に雨が降りだし大雨となった。


 「死亡ってどういうことだよ...だって二匹は...利籐!どういうことだよこれ!」

 「......」

 「なんか言えよ!嘘だよなあ?なあ!」

 「本当ですよ。だって二匹を殺したのは僕ですから」

 「!!」

 「それに書かれていることは事実。あなただってわかってるんでしょう?その本に書かれていることが嘘じゃないってこと。だからあなたは否定したくて怒っているんでしょう?」


悪魔は怒り利籐の胸倉を掴んだ。掴まれた利籐は冷静に悪魔を見下ろし、その様子から見下したようにも見える。


 「なんで!なんで殺した!二匹はまだ生まれたばかりの小悪魔だったんだぞ!」

 「それがどうしたんですか?あの二匹はあそこで死ぬと僕に殺されると記載されていました。だから殺しました」

 「ふざけるな!そんな理屈が通ると思うか!」

 「それが僕の仕事ですから」

 「仕事なら殺すのか!」

 「そうです。その本に書かれた通りに未来を切り開き遂行するのが僕の仕事である書生です。この本に書かれた通りに未来を行わないと皆が迎える結末が変わる。そんなことになれば未来が失われる。皆が平和になれるように行動するのが使命なんです」

 「なら目の前で傷ついている奴がいたら見殺しにするのかよ。助けを求める奴を殺して理不尽に見て見ぬふりをするのか!利籐!」

 「そうですよ...」

 「お前!」


悪魔は利籐を殴ろうとしたが寸前で拳が当たることは無かった。利籐の悲しそうな表情を見た悪魔は利籐を殴ることが出来なかった。


 「ごめんなさい...許されることじゃのは分かってます。二匹はいい子達だった。手にかけた時二匹はあなたのことを心配していました。あなたたちを見ていると昔を思い出します...あなたに恨まれて当然です。僕は二匹を殺しました...こんなこと言ってごまかしているようにしか聞こえないでしょう。それでいいから聞いてくれませんか?」

 「...何だよ」

 「僕たち書生はこの仕事から逃れられません。あなたの言う通り僕は最低です。今まで多くの命が目の前で失われ血が流れてきました。僕らは見届けることが仕事で深く関わってはいけない。助けたりするなんてもってのほかです。もしも助けたり関わたりすれば未来が変わり関わった人や異形が不幸になる。最悪死んだり存在が消えることだってある」

 「だから...助けたくても助けられなかった...殺したくなくても殺すしかなかった...そうしないともっとひどい未来になってしまうから...」

 「...利籐」

 「恨んでくれていいです...」


利籐はそういうと涙を流して謝った。悪魔は胸倉を掴んだ手を離した。利籐は呼吸を整えるとあの場で倒れて悪魔を見上げた。


 「おい利籐!どうした...?」

 「あなたは僕の心配をしてくれるんですね。あなたはいい異形です...そうですか...」

 「利籐?」

 「あなたは死ぬ...」

 「え?俺が...死ぬ」

 「そう...僕はあなたが死ぬのを確認するためにここに来ました」

 「そうだったのか...」

 「僕はあなたが死ぬ所を黙ってみようとしてたんですね...」

 「利籐...」

 「時間です...」

 「時間?」

 「そう。これを見てください」


悪魔は利籐に差し出された時計を見ると時計は進み続けていた。悪魔は利籐の言う意味が分からず困っていると利籐は針を指さした。


 「この時計は動いているでしょ?本来ならもう止まっているはずなんです」

 「え?俺は死ぬはずでしょ?」

 「...君は考えたことは無かったんですか?自分がどうして死ぬのかを」

 「そんなの考えたことなんか...」


その時だった。激しい爆発音が森中に響き渡った。


 「な、なんだ!」

 「...始まったんだ」

 「あそこか!行かないと!」

 「やめといたほうがいいです。行けばあなたは...死にますよ?」

 「だからってあいつらを放っておけない!あいつらは俺の大切な...家族なんだよ!」


悪魔はそう言うと爆発の起きた方へと走り出した。見届けた利籐はため息をついた。


 「家族か...行ったら死ぬのに...あなたは...優しいんですね」


利籐はそう言うと腕で顔を隠した。利籐は走り去った悪魔の後ろ姿を見て誰にも聞こえない声で呟いた。


 「あなたは殺される...あなたを殺すのは彼だよ」


 悪魔は走り爆発の起きた付近にいくと森が燃えていた。


 「ああ!森が燃えてる...急がないと...天使ー!小悪魔ー-!」


悪魔は叫びながら走り地面に血が飛び散っていることに気が付いた。嫌な予感がした悪魔は爆発が起きた場所につくと目の前の光景に悪魔は衝撃を受けた。


 「ち、血が...!!」

 「な、なんで...う、嘘だろ...」

 「...皆が死んでる」


悪魔が見たのは血だらけで倒れている小悪魔たちだった。悪魔が死ぬまで後...0時間

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