第14話 青い服着た黒いもの
チタンの姉シルクは容姿端麗なジト目系美少女である。
頭の回転は早く、非常に行動的である。
つまり結論≒行動という衝動的とも言え、アクティブなインドア系なのだ。
容姿と能力に全振りしたボーナスポイント、ゆえに対人スキルは皆無でもある。
万能超人など存在しないのが現実だ。
そして手先は器用である。
「ノッポさん♪…ノッポさん♪…はてさて?ふふ~ん♪…グフフ…ゴン太⁉」
なにやら歌っているのか呟いているのか…歌っているのだとしたらシルクの音感は絶望的である。
歌いながらテキパキと部屋を片付けて、ネットショッピングで溜まりまくっているダンボールで器用に手術台らしきものを製作したシルク。
「一応聞くがシルクよ…ワタシの新しい器を作るんだよな?」
無言で首を横にフルフルと振るシルク。
「うむ…では何を作ろうとしているのだ?」
「改造…する」
ゆっくりと人差し指でクロコを指すシルク。
「……」
一応確認のため後ろにチタンがいないか確認するために振り返るクロコ。
残念なことにチタンはいなかった。
ちなみにチタンは現在入浴中である。
「ふむ…この身体を改造するという解釈でいいんだな?」
頷く代わりに、ムンズッとクロコの頭を鷲掴んだシルク。
無言でクロコを段ボール製の手術台に縛り付けるシルク。
やたらと手際がいい。
「いや…べつに痛みは感じないのだが…気分のいいものではないぞシルク」
「大丈夫…イメージは固まっている…朧げと…」
「それは固まってないということではないのか?」
「グフフ…」
不気味に笑いながら針と糸を手にするシルク。
「なんか…なんかイヤだー‼ シルクの弟にして矮小なる下等生物チタンよ、ヘルプー‼ ヘルプミー‼」
クロコが絶叫した同時刻、風呂からあがったチタンは冷凍庫からゴリゴリ君ソーダ味を食べていた。
冷凍庫にはシルク専用とマジックで書かれた高級アイス『ハーゲル・ダック』が数種類納められている。
「う~ん…なんか結局ゴリゴリ君の方を食うんだよな~俺」
体の芯から庶民派なんだな~と頷くチタンにクロコの叫びなど届くはずもなく。
淡々と段ボール製の手術台ではクロコの改造手術がサクサク、チクチクと進んでいた。
(ワタシはどうなってしまうのか? もしかしたらバッタと混ぜられるんじゃないだろうか? いや…まさか…あのワラジムシ? 冗談ではない‼)
「ワラジムシは嫌だー‼ 選ぶ権利を要求するー‼」
もはや改造については諦めたクロコ、せめて合成相手は選びたい衝動だけが募っていく。
「悪魔に悪魔合体の相手を…選ぶ権利などない‼」
「それはデジタルデビルの世界だー‼シルクよ」
「グフフッ♪ コンゴトモ・ヨロシクー♪」
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