第5話 黒いバラを咲かせたい
「薔薇…グフフ」
『バラ』をカタカナで表記しない。
それが中二病というものである。
部屋で図鑑を眺めて不気味悪く笑うシルク。
それをボケーッと眺めている黒猫のぬいぐるみ(悪魔入り)クロコ。
関係性は召喚者であるシルクが主人でクロコは使い魔である。
使い魔としてクロコはシルクの身の回りの世話はしている。
主に掃除と洗濯、そして3食を部屋に運ぶという衣食住をギリギリ保っている。
主『シルク』本日は『薔薇』に興味を持たれたようだ。
「そんなわけでチタン、オマエ薔薇を買って来いよ」
使い魔『クロコ』からアゴで使われる弟『チタン』
「はぁ~? バラだぁ~あ?」
「チタン…バラではない薔薇だバカ…いや馬鹿」
「言ってる意味が解らん」
「バカ…いや馬鹿だなオマエは、シルクはバラではなく薔薇を欲しているようだ、察しろよ、頭が逝ってる姉が言ってるんだ、黒い薔薇が欲しいとな」
「知るかバカネコ 使い魔ならオマエが探して買ってこい、頭が逝ってる主が言ってるんだろ」
「いいのか?それで?」
「構わんが」
「シスコンなんだろオマエ、シルク大好きっ子だろ、シルクのために尽くせよ一生」
「断る‼」
「あのまま逝き続けたら、メンヘラまっしぐらだぞ、ホストに貢いで破滅するぞアレ」
階段で言い争うチタンとクロコの声が癇に障ったシルクがヌラッと顔を出して無言で図鑑を投げつけてバタンッと部屋のドアを閉めたシルク。
床に落ちた図鑑を拾い上げるクロコ。
「ほぉ…コレを所望しているようだな」
「しっかり黒い薔薇に付箋を貼っていやがる…」
「頼んだぞチタン」
「せめてオマエも付き合えよバカネコ!!」
そんなわけで花屋に向かったチタンとクロコ。
「おいチタン、そもそも花屋に黒い薔薇とか売っているのか?」
「さぁな~、花とか買ったことねぇし、でも行きゃあんじゃね?」
無かったのである。
「困ったことになったなチタン、オマエどうするつもりだ?」
「なんで俺に聞くんだ‼」
「おいチタン、ネットで買えるみたいだ、頼めよオマエ」
「バカ…それが出来りゃ苦労しねぇんだ」
過去に姉シルクが父のクレジットカードで散財したため、シルクとチタンにはネットショッピングができないよう制限されているのだ。
「それにシルクのことだ、今日用意しないと怒るぞアレ」
「そうだな…呪いとかかけてきそうだな」
「効かんけどなアレ」
「嫌な気持ちになんだよ‼」
花屋の前で20分ほど検討した結果…
白い薔薇に黒いスプレーで着色してみたが、一目でバレた。
当然のように激怒したシルクに呪われたチタンであるが、
「大丈夫だチタン、あの呪いは効かん」
悪魔のお墨付きは頂けたのである。
「だから、なんか嫌な気持ちになるんだよ‼」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます