■読書案内――お宮の壁の中に粽を投げ込んだ話
参考にした『捜神記』と『荊楚歳時記』の翻訳を紹介します。
●竹田晃『東洋文庫10 捜神記』(平凡社、1964)
『
「
さらにややこしいですが、当時の「小説」は現在のノベルやフィクションではなく、「立派な書物に載せるほどではない、断片的な記録や説」ぐらいの意味です。
つまり「
というのも、それ以前の中国では『
ですので怪談など超現実的なこと(
しかし時代がくだり
また民間では素朴な言い伝えなどがだんだん
さらに当時は貴族文化はなやかなる時代であり、多くの教養と知識に裏打ちされた、ウィットの効いたことをさらりと言うのがもてはやされた時代でもありました。
貴族は『
さらにおもしろい話をしっていれば、なおいい。
こういった時代の要求もあり、盛んに記されたのが「
『
死人が生き返ったり、幽霊につれていかれそうになったり、頭蓋の中に蛇が住みついたがうざいだけで何ともなかったり、飼い犬が急に二本足で立って竈で火をおこし始めても「まあそういうこともあるよね」とスルーしたお陰か災いが起こらなかったりする、歴史上の人物も名もない庶民も入り乱れた、多彩な奇妙な話が載っています。
●守屋美都夫『東洋文庫324 荊楚歳時記』(平凡社、1978)
『
なぜ
中国の年中行事を記した書物は『
ある程度まとまって残っている年中行事の本として、
『
比べてみると、『
『
東洋文庫は平凡社から刊行されているシリーズです。
箱にはいった緑色の新書ぐらいの大きさの本で、大型書店や図書館で見たことがある方もいらっしゃるかもしれません。
東洋文庫は「東洋史」と聞いて連想されやすい中国、朝鮮、日本といった地域だけでなく、インドや東南アジア、中央アジアから中東までの広い地域の史料を刊行しています。
また刊行される史料も
法典
(例 谷井俊仁、谷井陽子 訳解『大清律・刑律1 伝統中国の法的思考』……中国・清の法律である大清律のうち、刑法である刑律の翻訳)
詩集
(例 サアディー『果樹園(ブースターン)中世イランの実践道徳詩集』……中世イランの代表的詩人・シーラーズのサアディーの詩集)
当時の政府の記録
(例 内務省衛生局『流行性感冒「スペイン風邪」大流行の記録』……一九一八年から一九二〇年にかけて猛威をふるったスペイン・インフルエンザについての当時の日本政府による調査報告書)
日記
(例 李舜臣、北島万次訳『乱中日記1 壬申倭乱の記録』……豊臣秀吉の朝鮮出兵をしりぞけた李舜臣の陣中日記)
紀行文
(イブン・ジュバイル、家島彦一 訳注『メッカ巡礼記1 旅の出会いに関する情報の備忘録』……一二~一三世紀、十字軍の時代にメッカを巡礼した旅行記)
などなどバラエティに富んでいます。
東洋文庫は電子書籍版も一部刊行されています。
またジャパンナレッジというオンライン検索データベースでも読むことができます。
こちらは本文含めた検索だけでなく、ジャンルや地域などで絞り込み検索することもできるので便利です。
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