心配な髪



家に着く


「母さんただいま!!」


俺はいつも母さんにただいまが聞こえないと言われるからこの時ばかりはちゃんと言った


ひまわり

「ふーママただいまー!」


風馬母

「おかえり〜

………え!?風馬の友達!?」


「そ、そうだよ

悪いか?」


しずく

「どうもー」


北谷

「こんにちは」


風馬母

「あーーどうもーー!!こんにちは!

風馬がひまちゃん以外の友達連れてくるの初めてだからふーママ嬉しくなっちゃうー!」


母さんは本当に嬉しそうな表情を浮かべてくるっと一周回った


「綺麗なお母さんだね」


風馬

「そうか?」


風馬母

「え!?誰今綺麗って言ってくれた人!?」


「へ?」


風馬母

「ありがとー!風馬の友達から言われると嬉しさが5万倍だわ〜!」


母さんは湯山に抱きつく


「え、ちょっ……!」


風馬

「みっともないからやめろ!」


俺は母さんと湯山を引き離す


風馬

「俺の部屋で勉強するから邪魔しないでね」


風馬母

「はいはい、その前にあんたたち手洗いなさい」


ひまわり

「はーい」


母さんはそういうところは変わらないみたいだ


洗面所に行って手を洗うと


しずく

「あれ?光井んちって5人家族?」


風馬

「いや?俺と妹と両親で4人家族だよ」


しずく

「そうなんだ歯ブラシ5本あるから5人家族かと思った」


手島は丸いケースに入ってる歯ブラシを指差す


ひまわり

「あ、それ私の」


しずく

「え?…………」


アホかー!!

なんとも微妙な空気になった


しずく

「ど、同棲してるの?」


風馬

「してない!!朝飯たまにうちで食ったときに歯磨くからだ!」


しずく

「あんたら本当に仲良いんだね…」


否めないけど誤解はしないでくれ……


俺の部屋に行く


風馬

「じゃあ、やるかー」


ひまわり

「見てー!私の部屋見えるでしょー?」


しずく

「なんであんたの部屋カーテン全開なのよ!!

閉めてきなさい!!」


ひまわり

「え?よくない?」


しずく

「だめ!閉めてきなさい!」


ひまわり

「???」


カーテン全開なのは俺も迷惑だけど手島は相変わらずお堅い人だな

ひまわりは自分の家に戻ってカーテンを閉めた

ひまわりはもっと羞恥心を持て


とりあえずテーブルに教科書とノートを広げる


ひまわり

「んーーーなんか数学って全部暗号でわかんないよね」


北谷

「うん、数字とアルファベットどっちも出さないで欲しいよね」


ひまわり

「わかるー!結局数字使ってないじゃんね!」


北谷

「その方程式もいつ使うんだって話だよね」


ひまわり

「そうだよね!やっぱ勉強やめよー!」


【ゴス!】


俺はひまわりに脳天チョップをお見舞する


風馬

「はよやれ」


ひまわり

「はい」


俺は正直勉強は得意じゃないけど2人に教える

手島も一緒に教えてくれてるから割と助かるけど

湯山のやつは漫画しか読んでない

まあこいつはこいつでこうでいいと思う


ひまわり

「あああどうしよどうしよわかんない!」


北谷

「……」


1時間ほど勉強したが


ひまわり

「北谷くん、このユーチューバー知ってる?」


北谷

「え?わかんない」


風馬

「集中しろ!!」


まったく、なんでこうも勉強できない奴は集中力がないんだろ


風馬

「まあちょっと休憩するか」


ひまわり

「5時間くらい睡眠とっていい?」


風馬

「じゃあ帰れや」


ひまわり

「いじわるー」


少し休憩すると


【コンコン】


ノックの音が聞こえる

母さんか?

ドアを開けると


「風馬ー?」


雪乃が居た


雪乃

「え!?風馬の友達!?」


風馬

「そ、そうだよ」


雪乃

「えー!!奇跡??」


風馬

「うっせぇわ!」


「こいつ家族にどんな扱いされてんだ?」


風馬

「要件は?」


雪乃

「あー母さんがこれ渡してだってさ

こんなに多いからなんだと思ったけど風馬友達出来たんだね」


雪乃は俺に袋を渡してきた

中にはコーラが入ってる


風馬

「おー!さんきゅー!」


雪乃

「皆さん、どうか風馬とずっと仲良くしてくださいね」


しずく

「出来た妹だなー」


雪乃は出ていく

とりあえずみんなにコーラを渡して休憩をした


また勉強を再開すると


ひまわり

「うん……うん……おっけ……

う……」


風馬

「寝るな」


しずく

「北谷の方は順調だね」


北谷

「ありがとう、おかげさまで」


スッキリしたような顔な北谷

北谷は大丈夫そうだけど

問題はひまわりだな


ひまわり

「5+6=9」


壊滅的レベルだなこれ


「どれ?ひまわり、見せてごらん」


ひまわり

「これなにー?」


「あーこれね、これをこうやってこう」


湯山がついに動く


「ひまわりの場合こっちから先に計算した方がごちゃごちゃにならないんじゃない?」


ひまわり

「なるほどー!」


な、なるほど

湯山はひまわりに合った勉強方を教えていた

頭いいやつってわかりやすい説明するよな


ひまわり

「おおーー!出来た!」


「ね?簡単でしょ?」


しずく

「雛って昔から教えるの上手なんだよね」


ひまわり

「雛ちゃんありがとー!」


【ガバッ】


ひまわりが湯山に抱きつく


「う、うん、早く次やりな?」


すぐにひまわりを離す湯山

ひまわりも何とか勉強捗って欲しいな


そして3日間みっちり勉強するひまわりと北谷


北谷

「みんなー!本当にありがとう!

なんとかなりそうだよ!」


と教室で北谷が俺らに言う


しずく

「よかったじゃん」


「ひまわりは?」


ひまわり

「……大丈夫!」


そう言ってひまわりは自分の前髪を触った


「ほう?そう?」


風馬

「………?」


しずく

「じゃあとりあえずみんな大丈夫そうだね」


「これで安心してバイトに行けるわ」


ひまわり

「あははー、ありがとねー!」


一件落着した


いや、してない

絶対にしてない!!

この違和感は俺にはわかるぞ!!

学校が終わり家の最寄り駅に着く

俺は帰り道

その本人を突き止めた


「ひまわり、お前まさか勉強ちょっと不安なんじゃないか?」


俺がそう言うとひまわりは体をビクッとさせていた


「なな、なんで?みんなで勉強したから大丈夫だよ」


とひまわりは言うが

いや、絶対にこいつは嘘をついてる

俺にはわかるんだ


「正直に言えって、どうなんだ?」


俺が問い詰めると


「………実は…数学は大丈夫なんだけど

英語がちょっと…」


ひまわりは自信なさげに答える

やっぱそうか

何となく嘘ついてる気がしたんだよな


「なんでみんなに嘘ついたんだよ

湯山の勉強の教え方とか上手なんだから教えてもらえばよかったのに」


「だって、これ以上みんなに迷惑かけれないよ」


「お前なーそれは気使いでもなんでもないからな?

頼りたい時に頼ればいいんだよ」


「でもー」


まあこいつは昔から周りの目を気にしたり人に気使ったりしてるから

自分のピンチも人に迷惑をかけてるって思ってんだろうな

そんなことないと思うんだけどな


「じゃあまた勉強するか?」


「うん、ふーまならいいや」


「……まあ俺ならな」


「じゃあ久しぶりに私の家で勉強しよ!」


ひまわりがニコニコとした笑顔で言う


「おーそうだな

今日は両親は?」


「いない」


「いねーのかよ」


まあわかりきってたことだけどなー

ひまわりの両親は忙しすぎるって話したけど

週に1回くらい両親が帰ってこないことも多々ある

ひまわりのお母さんは夜遅くに帰ってくるらしいからほぼひまわり1人でご飯食べてるらしいからなー

俺んちで食ってもいいけどそれも悪いって言って断られてる

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