追試と危険な髪

勉強の髪


あれから2ヶ月が経とうとする

俺らは変わらずごく普通の生活をしていた

学校に行って授業を受けて終わったらみんなと遊んで帰る

普通の生活だけど普通に楽しいんだよな

後ろの席にいる水瀬とは何かあったらすぐに喋れるようになった

例えばSHRの時に今日の晩御飯何食べたいか聞いたりとか

あとは昨日何時に寝たかとか

妹とこんな話したとか

え?しょうもない会話ばっか?

ぶち殺すぞこれでも必死なんだ


高校生ってこともあってみんなバイトを始めたらしい

俺や水瀬は親の仕事手伝ってお小遣い貰ってるけど

ひまわりと手島と湯山は同じファミレスで働いてるらしい

手島だけがキッチンであと2人はホールで接客などしてるみたいだ

まあ何となく想像つくな

でもデザートの時だけひまわりがキッチンに呼ばれるらしい

北谷はスーパーの品出しを黙々とやってるらしい

なんか似合うな


そして6月の中旬、今日のHRではやけにひまわりが張り切っている


「皆さん!!7月10日に行われる林間学校に向けての話し合いをしますよ!!」


クラス委員ということもあって黒板の前で仕切っている様子だ

北谷は特に喋ってない


「はい!林間学校で1番重要なのはなんでしょうか!!」


ひまわりがみんなに聞くと


「はい!」


湯山が手を上げる


「はい!雛ちゃん!」


「もちろん!寝坊しない!」


「あー!大事だよねー!」


しずく

「なんでそこ共感すんだ…」


ひまわり

「そこも大事だけどそこじゃないよ!」


友田

「はい!」


ひまわり

「はい!友田くん!」


友田

「女子との交流!!」


ひまわり

「あー!!そうだよね!友田くん女友達居ないもんね!」


友田

「図星ーー!!!」


しずく

「天然ってこわっ」


グダグダと話し合いが始まる

林間学校とは俺ら1年だけで行う2泊3日の勉強合宿という名のお泊まり会のことだ

高校生になって初のビッグイベントだからな

そりゃ俺も楽しみで仕方ないな!


ひまわり

「林間学校で1番大事なのは!!

グループに分かれて団体行動を学ぶことです!!」


ひまわりはみんなにそれらしいことを言う

でもこいつの考えた言葉ではないことは確か


ひまわり

「なので今から6人組のグループで分かれてもらいます

誰と組むかは自由なのであの時計で45分までにグループを作ってください!

わー!!みんなー!!林間学校早く行こー!!」


ひまわりが俺らを引っ張っるように班を作る


しずく

「なーんか張り切ってると思ったら早く班を決めたかっただけか」


遥香

「でもひまわりさん仕切るの上手だね」


ひまわり

「えーへへー?もっと褒めてー」


「きもっ」


ひまわり

「シンプル悪口やめて!」


みんな少しずつ仲良くなってる

だからこそこの班で林間学校に行くことには意味があるんだ


班が決まったところで


ひまわり

「1日目はみんなでカレーを作るよ!

また今度のHRで役割分担決めようね

その日のお昼過ぎから魚釣りしたり山できのことか野菜を取ったりするからどれやりたいかまた今度決めよー!

んで晩ご飯はみんなで取った食材をみんなで分けて食べるよー」


ひまわりが事細かに林間学校でやることを説明する

その説明が終わると


「戸塚と北谷、林間学校のグループ分けと説明ご苦労」


奥村先生がこの後を仕切ることになった


「先程言ったように林間学校は団体行動を学ぶ場でもあり

色んな人とコミュニケーションを取る場でもある

それがほかのクラスだったり現地にいる人だったりなんでもいい

とにかく、大事なことは人との距離の測り方だ

これを学んで帰って欲しい」


人との距離の測り方ねー

なかなか難しいよなー

水瀬とはしょうもない話しか出来てないしな


「さて、ここからが本題だ

もちろん林間学校は大事な行事の一つだ

だか、貴様らにとって1番大事なのは学業だということを忘れるな

林間学校の前に期末テストがあるだろう?

その期末テストで赤点を取ったものには追試を受けてもらう

そしてその追試で不合格になった者は」


【バアアーーーン!!!】


「林間学校へ行くことは出来ず、学校で勉強だ」


奥村先生は机を強く叩いてそう言った


ひまわり

「な…な……」


「なんデスト………」


期末テストが終わり採点されたものが配られる


風馬

「おいおい、勘弁してくれよ」


ひまわり

「本当に」


北谷

「かたじけない」


風馬

「なんでクラス唯一の赤点がよりによってクラス委員のお前ら2人なんだよ!」


ひまわり

「本当に!!!」


北谷

「かたじけない!!」


そう、期末テストで赤点を取ってしまったのはクラス委員のひまわりと北谷だった

俺はそんないい点数じゃないけど赤点はさすがになかったよ


ひまわり

「え?ちょっと待って?

雛ちゃんも赤点でしょ?」


「なんで勝手に決めつけてんだよ!

あたしは全部平均点以上だぞ!」


ひまわり

「え、そんな…雛ちゃんのキャラじゃない……」


「失礼なこと言うな!赤点が!」


こいつらが追試とはな……

林間学校行けなくなったらどうすんだよ……


しずく

「追試はいつなの?」


ひまわり

「5日後だってさー」


遥香

「期間が短いんだね」


北谷

「ああああどうしよーー僕だって林間学校たのしみだったよーー!!

あああああああああ」


風馬

「落ち着けよ、まだ追試落ちたわけじゃないだろ?」


北谷

「べ、勉強なんて頭に入ってきたことがないんだ……」


風馬

「お前どうやって高校受かったんだよ……」


ひまわり

「北谷くん、何が赤点だったの?」


北谷

「僕は英語と数学が」


ひまわり

「えーー!一緒!

よかったー!仲間がいて!」


「よくねーわ」


なんでこいつらこんなに緊張感がないんだよ!

よし、仕方ねーな


風馬

「じゃあ5日間勉強会でもやるか」


ひまわり

「おー!いいねー!みんなでやろー!」


風馬

「おめーらがやんだよ」


ということなので今日から5日間みっちり勉強してもらうことにした


「遥香はどう?今日来れそう?」


遥香

「あー……えーっと……確認してくるね」


「はいよ」


水瀬はケータイを取り出し教室の外で電話をする

しばらくすると戻ってくる


遥香

「ごめん、今日行けないや

もしかしたら5日ずっとだめかも」


「なに??彼氏??」


風馬

「!!!!???」


か、彼氏!?

水瀬に彼氏!?

俺は激しく動揺する

そ、そうか……いちいち電話で確認って彼氏の事だったのか……

いや、こんな可愛い子に彼氏居ないわけ……


遥香

「ち、違うよ!?ほらバイトあるから!」


「あ、そっか」


あ!!そっか!!

バイトしてんだもんな!!

そうだそうだ!

安心したー


というわけなので水瀬は居ないけど5人で勉強会をやることにした

俺んちにひまわり以外の友達が来ることも初めてなので俺も緊張する


しずく

「光井の家ってひまちゃん家の隣なの?」


ひまわり

「そうだよ!ふーまの部屋から私の部屋見えるもん」


しずく

「部屋が見える……?

光井、覗きとかしてんじゃないでしょうね?」


風馬

「し、してねーわ!」


ひまわりの下着姿は見たけど

覗きじゃなくてあれは逆セクハラみたいなもんだ!


「光井んちなんか漫画ある?」


風馬

「あるけどお前も勉強教えろよ?

一応1番頭いいの湯山なんだから」


「しょうがないな〜

じゃあ北谷には特別に〜

勉強以外の事も教えてあげる♡」


北谷

「ぎゃあああああああああ!!」


何してんだかこいつは

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